「ピューッと血が噴き出てきた」5万円の賞金をかけられ二度刺されたことも…石原慎太郎の元参謀(77)が語る「安保闘争の凄まじさ」
手をひらくとピューッと血が噴き出てきた
濵渦 ここだけの話、私自身も刺されたことが二度ほどあります。一度目は大阪の梅田にある阪急東通商店街に「セシボン」っていう飲み屋さんがあって、そこに友人と学生服で入っていってハイボールを飲んでいたら、チンピラのお兄ちゃんがからんできたんです。もみ合いになっているうちに刃物が下から出てきて、ブスッと刺されました。近くの大阪中央病院で診てもらって、命に別条はありませんでした。それが一度目ですね。そのときはチンピラとのケンカみたいなものですが、こう見えても全共闘学生からは目をつけられて5万円の賞金首(懸賞金をかけられた人)になっていたんです。民族派としては目立っていましたから。 あるとき兵庫県の尼崎を歩いていて、「なんかおかしいな」と感じて振り向いたら、いきなり首元をナイフで刺されそうになったことがあります。思わず左手でナイフを押さえて命拾いしましたよ。 そのままひたすら走って逃げて病院に駆け込んだら、もう硬直して手が開かない。なんとか開くとピューッと血が噴き出てきた。そのときの神経の切れた傷跡が、いまだに手に残っています。 江本 それは背後からの殺気に気づいたんですか。 濵渦 不思議ですが、なんとなくわかるものなんですね。あの当時は自分自身も殺気立っていたというか……つねに緊張状態にいて、警戒心があったんだと思いますよ。 「三島さんの首が据わらないで転がっていた」クーデターはなぜ失敗? 自衛隊員に演説するだけで終わった「三島由紀夫の大誤算」 へ続く
濵渦 武生,江本 孟紀/Webオリジナル(外部転載)