よみがえる「8年前の悪夢」…大統領弾劾政局に揺れる韓国財界
【12月08日 KOREA WAVE】韓国財界は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領をめぐる弾劾政局を見守りつつ、2016年の「国政介入事件」によるトラウマが蘇る状況に直面している。当時、政経癒着問題や財閥トップの逮捕が相次いだ影響で、経営上の危機を経験した苦い記憶が再燃しているからだ。 財界は今、すでに低成長予測や「トランプ・ストーム」(トランプ前大統領の再再登板による影響)に直面している。そこに突然の政治的リスクが加わり、8年前の悪夢を思い起こさせる事態となっている。 2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾政局では、国会での弾劾訴追案可決を機にパク大統領の職務が停止され、行政機能が事実上麻痺状態に陥った。加えて経済外交も停滞し、輸出依存度の高い韓国企業は政府の支援を期待することが難しい状況に追い込まれた。 さらに、国政介入事件に関連して大手財閥のトップが次々と捜査対象となり、企業への不信感が国民間で広がったことで、財界は反企業感情に直面せざるを得なかった。また、捜査機関による圧力も強まり、企業は防御的な経営に追い込まれることとなった。 国際的な環境も当時は厳しかった。最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」の配備をめぐる中国の経済的報復や、米国の保護主義的政策により、韓国企業の経営不確実性が高まった。 今回のユン大統領の「非常戒厳」宣言に端を発する弾劾政局は、財界と直接的な関係があるわけではない。しかし、財界は「国政介入事件」の影響で生じたトップ不在の経験から、現在の状況によりいっそう不安を感じている。 その背景には、グローバル経済環境の悪化がある。すでに低成長が予測されており、国際通貨基金(IMF)や米国の投資銀行ゴールドマン・サックスは、2024年の韓国の経済成長率をそれぞれ2.0%、1.8%と予測している。 さらに、トランプ前大統領の復帰により、補助金政策の廃止や関税引き上げが予告される中で、企業の経営環境はますます不透明さを増している。 国内環境も楽観できない。財界が長年求めてきた「半導体特別法」をはじめとする主要産業支援法案の議論が、非常戒厳と弾劾政局によって事実上棚上げされている。 今後、弾劾政局が長期化し、経済外交の空白が再び繰り返される場合、輸出依存度の高い韓国企業にとって大きな悪影響が及ぶ可能性がある。また、捜査の対象が財界にも広がるのではないかという懸念も一部でささやかれている。 財界関係者は「8年前の弾劾政局から得た教訓を生かし、慎重に状況を見守りつつ、対応している」としながらも「企業に直接的な関与はないが、当時のトラウマがある以上、コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)を検討せざるを得ない」と語った。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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