iPhone 6s発売で各社がアピールする“ネットワーク品質” その本質とは
スマートフォンがデータ通信をしようとするとき、その端末は最寄りにある基地局を探しにいきます。このときの、基地局と端末の距離が第一の速度低下要因です。基地局とユーザーの位置が遠く離れている場合には、電波が届きにくかったり、届く電波が弱くなったりすることが考えられます。次に、その基地局には何人ものユーザーが同時に接続してデータ通信を行っています。この時の基地局の混雑度が第二の要因。基地局が混んでいてパンクしそうな場合には、遠くの別の基地局を探しに行くケースもあります。 次に、基地局と端末の間に建物や障害物がある場合には、それによって電波が遮られたりする場合があります。これが第三の要因です。また、基地局は常に最高速度の電波を発信しているわけではなく通信速度には波が生じているほか、街中には様々な性質の電波が飛び交っていて携帯電話の電波にとってノイズになる場合もあります。これらも速度低下要因だと言えるでしょう。 つまり、私たちが実感できる通信速度は、基地局が持つ理論上の最高速度に「基地局と端末の距離」「基地局の混雑度」「障害物の有無」「電波のコンディション」といった様々な要因が掛け合わさって生まれるものなのです。
もちろん、他に接続しているユーザーがいない、空いている基地局の近くでスマートフォンを使用すれば、理論上の最高速度に近い実効速度を体験できるのかもしれません。しかし、人の往来が激しい大都市の駅前や多くの人で溢れかえる繁華街では、たとえ基地局がユーザーの間近にあっても、それを数十人、数百人の人が同時に利用していれば、ユーザーひとりひとりが実感できる通信速度は大きく低下することが予想されます。そういったシビアな通信環境であっても、ユーザーひとりひとりのスマートフォンに十分な通信速度を提供できるかどうかはキャリアにとって大きな課題であり、それこそが通信キャリアが提供するネットワーク品質の真価なのです。