iPhone 6s発売で各社がアピールする“ネットワーク品質” その本質とは
しかし、発表会に登壇したNTTドコモ 取締役常務執行役員ネットワーク部長の大松澤 清博氏は、ドコモがLTE-Advancedを強化していく狙いについて、「第一のプライオリティは混雑しているエリアの電波状況改善だ。高密度にアンテナを配置しても、なお電波が混雑するような場所において、LTE-Advancedを積極的に導入していく。『高度化C-RAN』によって、複数ある周波数の電波を効率よくユーザーのスマートフォンに繋いでエリア内の通信状況全体を最適化でき、速度のばらつきをなくして通信環境を快適にすることができる。狙いは、ユーザーがいつでも快適に使用できることであり、混雑している箇所でも電波状況にむらを作らないことだ」と語り、最高速度の追求よりも、通信が混雑している状況においてユーザーがストレスなく使える環境を整備することが重要だという認識を示しました。 また大松澤氏は、こうした狙いに基づき全国の大都市の中でも特に通信が混雑しているエリアを中心に増強を進めているLTE-Advancedの導入効果として、最も通信が混雑している時間帯における平均実効速度(ユーザーが実際に使用できる通信速度)が全国で10%、都市部で20%向上している点や、山手線の主要駅における最も通信が混雑している時間帯における実効速度が平均で4倍向上していると、その有効性を強調しています。
混雑するシビアな環境でこそ、ネットワーク品質の真価が試される
このように、ドコモがLTE-Advancedを推進する目的として、最高速度のアピールよりも混雑時における実効速度の向上を重視するのはなぜでしょうか。それは、私たちが普段使用しているスマートフォンのデータ通信速度=実感できるネットワーク品質がどのように決められるのかを紐解くと見えてきます。 例えば、ある場所に設置されている基地局(通信アンテナ)が最大受信速度150Mbpsの電波を発していたとしましょう。しかし、ユーザーはこの150Mbpsという通信速度をそのまま使えるのではなく、実際には実効速度を低下させる様々な要因が介在しています。