資産増大&相続税圧縮効果を狙え!…企業経営者が知っておきたい「MBO」最大活用術【公認会計士が解説】
MBOを活用した具体的な取引の方法
先生:具体的な取引ですが、まず最初に、投資ファンドが出資して受け皿会社を設立し、銀行から借入れを行います。銀行借入金でまかなう割合は、一般的に50%から80%です。 生徒:不動産を買うときは、銀行が100%貸してくれる「フルローン」のケースもあるようですが、さすがに会社を買うときは50%くらいなのですね。 先生:次に、受け皿会社が、投資先の株式を購入します。 生徒:上場会社の株式を買い集めるときは、株式公開買付けが必要ですね。 先生:そして株式を100%取得したうえで、受け皿会社と投資先の会社を合併させます。その結果、借入金は投資先の会社の債務となります。つまり、投資先が稼いだお金で、借入金を返済することになります。投資ファンド自体は債務を抱えることはありません。
狙われる会社の特徴…投資ファンドが買収したいと思うのは?
生徒:では、投資ファンドが買収したいと思う会社は、どんな会社でしょうか? 先生:特徴は3つあります。1つは、業歴が長く、利益とキャッシュ・フローが安定している会社です。これは、多額の銀行借入金を継続的に返済し続けなければいけないからです。毎年の業績の変動が大きい会社は向いていません。また、ベンチャー企業のように、毎年大きな設備投資を行うことを予定している会社も向いていません。 生徒:借入金さえ返済できれば、放っておいても儲かりますね。 先生:もう1つは、多額の現金や金融資産を抱えている会社です。これは、借入金の返済に充てるための財源とすることができるからです。余っている現金が多い会社への投資ほど、当初の借入金の割合を高めておいても大丈夫でしょう。逆に、借入金を全額返済しても、お釣りが来るようなお得なケースもあります。 生徒:お金を支払って、お金を買うようなイメージですね。 先生:そして、最後の1つが上場企業の場合、株価が低い会社です。これは、投資ファンドが自ら支払う投資額を小さく抑えることができるからです。株価は、株式市場の需給によって決められるもので、必ずしも企業価値を適正に反映しているわけではありません。株価が下がったタイミングが最適です。 先生:無借金でPBRがものすごく低い上場会社は、お買い得でしょうね。