資産増大&相続税圧縮効果を狙え!…企業経営者が知っておきたい「MBO」最大活用術【公認会計士が解説】
経営者が相続税対策として活用するケース
生徒:MBOでは、経営者が投資するケースもありますよね? 先生:経営者は錬金術を使って稼ぎたいというわけではなく、相続税を減らすことを目的としています。上場株式が非上場株式に変わることによる効果です。 生徒:といいますと…? 先生:単純化した数値例で考えてみましょう。企業価値100億円の上場会社を経営者だけで買収し、その株式を子どもに贈与または相続するものと仮定します。経営者は半分の50億円だけ元本として支払い、残り半分の50億円は借入金でまかないます。 生徒:はい。 先生:経営者が50億円で買い取った上場株式の時価は50億円です。その際に非上場化しますと、会社の株式は非上場株式に変わります。そうなると、相続税評価額の計算方法が大きく変わります。 生徒:「相続税評価額」とはどのようなものでしょうか? 先生:相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告するときの基準となる評価額のことです。上場株式の相続税評価額は時価に基づいて計算されますが、非上場株式の相続税評価額は、税法に定められた計算式によって計算されます。このため、同じ会社でも、上場と非上場では2倍以上の差があってもおかしくありません。 生徒:そんなに違うんですね! 先生:会社の相続税評価額が100億円ではなく、50億円だとすれば、借入金50億円がマイナスされるため、株式の評価額がゼロとなることもありえます。「50億円-50億円=ゼロ」となるわけです。株式の評価額がゼロとなったタイミングで子どもに贈与または相続すれば、税金はかかりません。 生徒:それはすごい! とても勉強になりました。ありがとうございます。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄