病室で隣から聞こえた「どうか子宮は残して…」の声に動揺…自分のがん手術が明日なのに【漫画の作者に聞く】
鼻づまりで病院に行ったら突然「がん」が発覚。 2児の母・やよいかめ(@yayoi_kame)さんの闘病コミックエッセイ「続 鼻腔ガンになった話 未来への道」は、累計5000万PV超えと大反響を呼んだ漫画シリーズだ。2024年春に発売された電子書籍から一部抜粋し、ご本人に漫画の内容や見どころを聞いた。 【漫画の本編を読む】「子宮は残して…」涙が止まらない ■鼻腔がんの手術を受けるために再入院 鼻腔ガンと宣告され、入院したやよいかめさん。放射線治療などを経て患部が縮小したため、切開ではなく、傷口が目立たない内視鏡による手術に決まった。1カ月ほど自宅で静養したあと、手術のために再入院する。 家族としばしの別れ、そして入院患者との再会。幼い子供はがんの怖さについてまだよく理解できていないのか、明るく見送ってくれた。再び始まった入院生活だが、その日の就寝間際にある出来事が起きた。 若い女性の急患が運ばれてきた。その後トイレでその患者とばったり出会ったが、体調もかなり悪そうで声もかけられない。そうこうするうちに、やよいかめさんの手術の日が迫ってきた。 手術前夜、やよいかめさんが寝ようとすると、病室のカーテン越しに例の若い女性の家族の会話が漏れ聞こえてきた。それは、子宮を摘出するかどうかという重い決断だった。手術前夜という大事なときに、涙が止まらなくなってしまう。 ■病院の大部屋は気遣いが大事 運ばれてきた患者さん(若い女性)とトイレで出会った。「夜中にばったり出くわしたので、最初はびっくりしたんです。一方で『もし今ここで倒れたら私が看護師さんを呼びに行かなければ!』とか、おせっかい的なことを考えてました。調子が悪いときに声をかけるのはよくないと思ったし、でも心配だからとずっと見てたら不審者…。あくまで何かあったら助けようと言う気持ちでした」 この話をInstagramで最初に描いたとき「こんなふうに病室でプライベートな治療方針を話す病院なんてありえない!」「ほかの患者さんが移動してあげればいいのでは?」というコメントをもらったとか。しかし、「彼女自身まだ体調が悪そうで、さらに彼女のご家族も日中はお仕事をしている様子で、家族が集まれるのが夜遅い時間だったようです。だから大部屋にもかかわらず、病室で治療についてのお話をされていたんだと思います」 ほかの患者が気を遣って移動することについては、「気管切開して酸素吸入している患者さんや抗がん剤で調子の悪い患者さんもいたので、難しいですよね。だからこそ大部屋は気遣いが大事だと感じました。つらいときは、お互いあえて立ち入らず聞かないようにする。また偶然聞いてしまったとしても、黙っておく。そういう気遣いが必要なんだと思います」 ■今できることを精一杯やるしかない 手術前夜に重い話を聞いてしまったやよいかめさんだが、「患者さんご本人の気持ちやご家族の気持ちもそれぞれ自分に置き換えてしまい、胸が痛くなりました。自分一人で何とか消化しなければと思ったんですが、そう思えば思うほど考えてしまって涙があふれて…。いろいろ考えて考えて、疲れて寝てしまったんですが、結局のところ人間ができることって限られているので、『今できることを精一杯やるしかない』そう思って手術に向かいました」 ※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため、閲覧にはご注意ください。