バイデン米政権、エヌビディア製などのAIチップ輸出規制強化へ
(ブルームバーグ): バイデン米政権は政権移行が迫る中、エヌビディアなどの企業による人工知能(AI)チップ輸出の規制を強化する計画だ。中国とロシアに先端技術が渡らないようにする取り組みに最後の追い込みをかける。
事情に詳しい関係者によると、米国はデータセンターで使用されるAIチップの販売を国と企業単位で制限したい考え。AI開発を友好国に集中させ、世界の企業の足並みを米国基準にそろえることが目標だという。
実施されれば、半導体輸出規制が世界の大半の地域に拡大する。需要が高まるAI技術の拡散抑制を図る規制強化の計画は、早ければ10日に発表される可能性がある。関係者によると、輸出規制は三階層となる。部外秘情報だとして関係者は匿名を条件に話した。
最上位は少数の同盟国で、米国製チップへの実質的に無制限のアクセスを維持する。一方、敵対国グループは半導体輸入が事実上阻止される。 さらに、世界の大多数の国々は、一つの国に供給されるコンピューティングパワーの総量に制限が課されるという。
最後のグループに属する国は、米政府の安全保障要件と人権基準に同意すれば自国に対する制限を回避し、はるかに高い上限を確保できると関係者の1人は述べた。この種の指定(認定エンドユーザー、VEU)は、世界中の安全な環境でAIを開発・展開する信頼できる事業体の構築を目的とする。
AIチップ大手メーカーであるエヌビディアの株価は、ブルームバーグが計画を報道した後、時間外取引で1%余り下落した。AIプロセッサーでエヌビディアにとって最大のライバルであるアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価も1%弱値下がりした。
エヌビディアは発表文で同計画への反対を表明。「世界の大半への輸出を制限するような土壇場のルールは政策の大幅な転換となり、悪用リスクを軽減するどころか、経済成長と米国のリーダーシップを脅かす」と主張した。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の担当者はコメントを控えた。半導体輸出管理を担う商務省産業安全保障局(BIS)は、コメント要請にすぐには応じなかった。