就任1年目で、アメフト大学日本一 立命館大学・高橋健太郎監督の指導方針「パンサーズは社会の縮図」
パンサーズは社会の縮図
5月下旬に僕が数人に、選手からスタッフへのポジション変更を言い渡したことに反発して、練習を休む選手が出たり、チームを離れる部員が出たりして、結果的に3人が退部しました。我々は150人を超える大所帯になっています。加えて3キャンパスで授業がある。練習時間が非常に限られている中で、希望者をすべて受け入れて練習していくと、一人ひとりの練習密度が薄くなってしまうのが課題だと感じていた部分があります。 それだけじゃなくて、日本一になるためには自分たちの活動に責任を持って取り組んでいく必要があると思っています。パンサーズは社会の縮図だと考えていますので、選手としていい結果を残さないとポジション変更をしてもらわないといけないというのは事前に伝えていた中で、やらせてもらいました。あれが正しかったのか間違っていたのか、いろんなご意見をいただいているのが正直なところなんですけど、一人ひとりがこの場でやらせてもらってるのが当たり前じゃなくて、いろんな人に支えられてこの場にいられるという観点で言うと、一人ひとりの危機感や責任感が一段階上がったのは事実だなと思ってます。あのポジション変更を断行した大きな理由としては、ぬるま湯のような空気感があったので、このチームには必要なことだと判断して、監督の責任で実行しました。 甲子園ボウルでは、これまで温めてきて出しどころのなかったスペシャルプレーをいくつも出しました。大舞台で勝負プレーの決まる確率は半々だと思ってるんですけど、そこを決めきったのが彼らの持ってる力なんじゃないかと思います。彼らがフットボールを愛して、嫌々じゃなく楽しんで積み上げていったからこそ、あの場面で難しいプレーを決めきれたのだと感じました。ほんとにこれが学生スポーツの醍醐味(だいごみ)だと思うんですけど、2024年1月に初めて彼らと会った時点から一回りも二回りも人間的に大きくなって、成長してくれたかなと思います。 当初は、言われたことを完璧にこなすのが彼らのパーソナリティー的なところがあったんですけど、僕は考えて決めて自分で行動していくってのが大事だと思ってまして、選手や学生スタッフにも強く求めていました。そういったところで工夫する思考ができたのは大きな成長で、あとは彼らが勝手に走ってくれたかなと思います。