3列目は割り切り?トヨタ「シエンタ」 欲張りすぎないミニバン選びとは
ミニバンといえど求められる燃費性能
加えてハイブリッドモデルの存在は大きい。これまで書いてきたようにシエンタは毎日通勤や買い物に使いながら、いざという時は多人数乗車にも対応できるという家族のアシだ。燃費性能は当然重要になってくる。 近年燃費の基準点がどんどん変わっている。少なくともハイブリッドに関しては、たとえミニバンであっても実効燃費リッター10キロではもうダメな時代になってしまった。少なくとも15キロ。燃費が良いと評価するには20キロに以上の実効燃費を求めてしまう。シエンタの直接のライバルになるホンダ「フリード」のハイブリッドも15キロはクリアしている。それをどのくらい上回るか興味深い。
シエンタのハイブリッドモデルはアクアのコンポーネンツを使っている。アクアはグレードによって車両重量が1050キロから1090キロとハイブリッドとしては異例に軽い。シエンタのハイブリッドは1380キロと300キロも重いので、実行燃費が20キロまでは達しないと思うが、ミニバンとしてはかなり異例の実効燃費を叩き出しそうだ。 ちなみにガソリンモデルの方はカローラのエンジンコンポーネントを使う。1500cc 4気筒のミラーサイクルエンジンにCVTが組み合わされる。技術要素を見ると最新世代のエコエンジンで、こちらもガソリン車のミニバンとしては相当に低燃費が期待できそうだ。 冒頭に記した様に、ミニバンは宿命的に様々なネガを背負っている。だから残念ながらシエンタが趣味の対象として光り輝くものになっているとは思えないが、現実の生活を合理的に生きていくための道具としてバランスの取れた選択肢になると思う。 (池田直渡・モータージャーナル)