中国EVアイウェイズ、国内市場から「撤退」 価格競争で経営難 欧州へ軸足移す
価格競争から逃れドイツへ
中国の自動車メーカーであるアイウェイズ(Aiways、愛馳汽車)は、ドイツに置く欧州本社を拡張し、エントリーモデルの新型クロスオーバーを導入する計画だ。中国市場から撤退し、海外事業に力を入れる。 【写真】日本人デザイナーによる上級クロスオーバー【アイウェイズU6を写真で見る】 (16枚) さらに、同社は2024年末までに特別目的買収会社(SPAC)との合併を経てナスダック証券取引所に上場する準備を進めているという。関係者への取材で明らかになった。 アイウェイズは2017年に設立された新興企業で、生産拡大やグローバルな販売事業の確立で資本が流出し、最近経営難に陥っている。 「アイウェイズのグローバル販売活動の中心は、上場に伴い欧州、特にドイツに移る。中国市場は価格圧力が強く、競争も激しいため、中国市場にとどまる計画はない」と、ある関係者は取材で語っている。 経営体制は上場後も変わらず、ヒューゴ・ズーCEOが引き続き指揮を執る見込みだ。彼をサポートするのは、アイウェイズの海外事業を統括し、欧州部門のマネージング・ディレクターを務めるアレクサンダー・クロース氏だ。 創業7年のアイウェイズはこれまで中国のIT大手テンセント、自動車用バッテリーメーカーCATL、ライドヘイリング事業者のディディから投資を受けてきたが、ナスダック上場によってさらなる資金調達を図る。 現在、上海工場におけるEV「U5」および「U6」の生産は、販売不振と資金不足のため1年近く休止しているが、2024年後半に再開される見通しだ。 関係者は「アイウェイズの今後の販売は中国からの輸出になる。2025年初頭に欧州での販売を再開する予定だ」と話す。 主なターゲット市場として、ドイツ、イタリア、オランダ、ノルウェーがあり、英国にも右ハンドル車を導入すると考えられている。現在のような資金難に陥る前は、欧州16市場で事業を展開していた。 欧州をグローバル販売の中心に据え、中東での販売拡大や、2030年までに米国市場への参入も目指す。ラインナップ拡大と販売体制刷新の一環として、新しいエントリーモデルのクロスオーバー開発に取り組んでいる。 「より多くの市場で販売台数を伸ばすためには、より手頃な価格のモデルを提供する必要がある」と関係者は語っている。 中国市場ではEVの価格競争が激化しているため、最近では多くの自動車メーカーが生産を中止し、投資を募っている。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部