2度の「震度7」や届かない物資……熊本地震の教訓「7つの備え」(上)
一方、ネットを使えない人との「情報格差」は広がっていきます。これはお年寄りに限らず、普段パソコンやスマホを使いこなしている人も、電波が途絶えたり停電したりすることで一気に「情報弱者」となる可能性を含みます。 また、災害時は物理的な情報だけでなく、法手続きなどソフト面の情報も重要です。私は益城町の住民に「り災証明書っていつごろ出るの?」と聞かれ、とっさに日本災害復興学会が発行した小冊子『被災したときに-生活再建の手引き』を見て「被害調査が終わった後に自治体に申請すると発行される」そうだと説明しました。 これは過去の災害復興の経験を元に2009年に初めて発行された冊子で、A5版12ページの中に避難所から仮設住宅、生活再建に向けた手続きや注意点が簡潔に分かりやすくまとめられています。学会のウェブサイトからPDF版をダウンロードできますが、情報としてやや古くなってしまった点があり、学会事務局(関西学院大学災害復興制度研究所)は「数字などは最新の情報を自ら確認してほしい」とします。それでも少なからず先が見通せることは、被災者にとって前に進む意欲となるでしょう。 今回の被災に関する法制度については、政府が「いつもの生活を取りもどすための役立つ情報まとめ」と題する冊子を首相官邸ホームページで公開、熊本県弁護士会も「災害Q&A」として情報をまとめていて、参考になります。 こうした情報はネットだけでなく、紙で保存しておくことがまさに「備え」になると言えそうです。 後編では「『道の駅』の災害拠点化もっと」「アウトドアレジャーのすすめ」「防“犯”力から防災力も強化」「『ごみ』も大事に、『廃棄物』は減らそう」の4項目をお伝えします。
----------------------------------- ■関口威人(せきぐち・たけと) 1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。環境や防災、地方自治などのテーマで雑誌やウェブに寄稿、名古屋で環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」の編集長も務める。本サイトでは「Newzdrive」の屋号で執筆