JR西日本、突然「Tシャツ勤務」OKにした深い理由 JR東海は新幹線通勤時間を勤務としてカウント
これまでのところ、ふさわしくない服装だとして注意を受けた社員はいないという。逆にオフィスカジュアルに慣れていない年配の社員はどうか。この点については、「スーツ・ネクタイを否定しているわけではないので、そういう服装の社員もいる。しかし、最近は50代社員のうち半分の服装はオフィスカジュアルだ」。 オフィスカジュアルを導入した結果、どんなメリットがあったのか、長谷川一明社長は「たかが服装だが、されど服装」と話す。「服装が変わることでこれまでの硬直化した発想から自由な発想に変わった」。社員たちも「社内の空気感が変わった」と口をそろえる。お互いの服装の変化をきっかけに社員同士のコミュニケーションが増えたという。「全社的に明るくなった」。新卒採用活動にも好影響が出ているという。
カジュアルな服装については1つ疑問がある。バックオフィスの社員たちは、乗っている列車内で緊急事態が起きた際には乗務員とともに乗客誘導を行う決まりだ。カジュアルな服装で乗客誘導を行っていいのか。この点について問うと、「勤務時間外のプライベートで列車に乗っている社員も、何かあればJR西日本の腕章をして業務に当たる」。つまり、今までと変わらないのだ。では、急な謝罪対応などカジュアルな服装が許されない場合はどうか。これについては、個人ロッカーに白いワイシャツやネクタイを入れておくことで対応するとのことだった。
もう1つ疑問がある。バックオフィスの社員がオフィスカジュアル化することで、鉄道現場で制服を着て仕事をしている社員たちから不公平という声は上がらなかったのだろうか。長谷川社長に直撃質問してみたところ、「そのような声は聞いていない」と断言した。現業部門の社員は制服に着替えることで頭のスイッチが切り替わり、安全運行への意識を研ぎ澄ませる。服装の意味合いが違うのだ。 ■部署別でない新オフィスのフロア構成 JR西日本がスタッフの働き方改革として取り組んでいることはほかにもある。大阪駅近くの本社ビルにある鉄道本部を今年度中に新大阪駅近くの賃貸ビルに移転するのだ。本社で勤務する700人とほかのビルで働いている200人、合わせて900人が移転対象となる。倉坂昇治副社長はその狙いについて次のように話す。