日銀・黒田総裁会見4月27日(全文1)長期国債の買い入れ上限設けず
日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の27日午後、記者会見を行った。 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「日銀・黒田総裁が会見 追加金融緩和を決定(2020年4月27日)」に対応しております。 【動画】日銀・黒田総裁が会見 追加金融緩和を決定 ◇ ◇
金融緩和を一段と強化
共同通信:総裁、共同通信の【ミワ 00:01:49】と申します。それではこれより、総裁の記者会見を始めます。総裁、どうぞよろしくお願いいたします。まず本日の決定内容と展望レポートについてご説明をお願いします。 黒田:日本銀行は本日の決定会合において金融緩和を一段と強化することを決定しました。具体的には、第一にCP、社債等買い入れの増額です。CP等、社債等の追加買い入れ額を、それぞれ7.5兆円に大幅に増額し、合計、約20兆円の残高を上限に買い入れを実施することとします。併せて、発行体ごとの買い入れ限度を大幅に緩和するほか、買い入れ対象とする社債等の残存期間を5年まで延長します。 第二に、新型コロナ対応金融支援特別オペの拡充です。3月に導入、開始した特別オペについて、金融機関が企業を中心に幅広く民間部門に対する金融仲介機能をいっそう発揮することをしっかりと支援するために、対象担保範囲と対象先金融機関を拡大したほか、本オペの利用残高にプラス0.1%付利することとしました。これに加えて、中小企業等の資金繰りをさらに支援するため、政府の緊急経済対策等における資金繰り支援制度も踏まえた、金融機関への新たな資金供給手段の検討を早急に行うこととしました。
国債のさらなる積極的な買い入れ
第三に、国債のさらなる積極的な買い入れです。債券市場の流動性が低下している下で、政府の緊急経済対策により国債発行が増加することの影響も踏まえ、債券市場の安定を維持し、イールドカーブ全体を低位で安定される観点から、当面、長期国債、短期国債共に、さらに積極的な買い入れを行うこととしました。これに伴い長期金利の金融市場調節方針について、10年物国債金利が0%程度で推移するよう買い入れ上限を設けずに、必要な額の長期国債の買い入れを実施することとしました。 なお、本日の決定会合では、短期金利についての金融市場調節方針、ETFおよびJ-REITの買い入れ方針については、3月の方針を継続することも決定しました。今回の決定の背景ですが、内外における新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、わが国経済は厳しさを増しており、金融環境も企業の資金繰りが悪化するなど、企業金融面で緩和度合いが低下しています。こうした情勢を踏まえ、金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から今回の措置を決定しました。 次に展望レポートについて、展望レポートに沿って経済・物価の先行きをご説明します。経済は当面、内外における感染症拡大の影響から厳しい状態が続くとみられます。物価についても当面、感染症の拡大や原油価格の下落などの影響を受けて弱含むとみられます。その後、内外で感染症拡大の影響が和らいでいけば、ペントアップ需要の顕在化や挽回生産が予想されることに加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策にも支えられて、わが国経済は改善していくと考えられます。そうした下で物価も徐々に上昇率を高めていくとみられます。