中国・深圳では深夜のショールーム訪問も-規制緩和で住宅市場に熱狂
(ブルームバーグ): 9月29日午後11時12分、中国で最も住宅購入が困難な都市である広東省深圳市が、住宅購入規制を緩和した。それから1時間もしないうちに、地元デベロッパー、エクセレンス・グループの郊外プロジェクトの販売センターには、購入希望者の一団が現れた。
趙という姓の住宅エージェントは、「ショールームに何人かのエージェントを待機させておいてよかった。結局、徹夜で働くことになった」と振り返った。メディアへのコメントが許可されていないため、フルネームは明かさなかった。
この熱狂的な盛り上がりは、苦境に立たされている不動産部門へのてこ入れを中国政府が呼びかけたことを受け、いわゆる「1級都市」と呼ばれる主要都市が、住宅購入規制をさらに緩和したことによるものだ。当局者らは、大都市の回復が全国に波及し、アジア最大の経済大国への信頼が回復すると期待している。
他の業界関係者も、購入者の関心の急速な高まりを感じている。上海では複数のエージェントが、国慶節(建国記念日)の1週間の休暇の旅行をキャンセルして物件の下見をしようとする人々から、マンション見学の依頼を受けたと語った。
政府の景気刺激策で、世界で最も低迷していた市場の一つである中国市場にも投資家が戻り、中国不動産株は2日の香港市場で過去最大の上昇を記録し、先週からの堅調が続いた。個人投資家のセンチメントの急速な好転も、不動産市場の落ち込みがようやく止まるとの期待を盛り上げた。
ただ、大都市圏における最新の取り組みが全国的な景気回復のきっかけとなるのか、過剰在庫の大部分を抱え、苦しんでいる小規模都市から需要をそらすことになるのか、依然として疑問は残っている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の不動産アナリスト、クリスティ・フン氏は「これまでの緩和策と同様、短命な回復に終わる可能性がある。1級都市の不動産下落スパイラルには歯止めをかけるかもしれないが、おそらく小規模都市には影響を与えないだろう」と述べた。