強すぎる日本代表。そこには3バックの精通者の存在が?強力アタッカー陣を輝かせる的確なポジション移動。【西部の目】
⚫️3-4-2-1の精通者
バーレーンのコンパクトな守備にバイタルエリアを消され、サイドへの展開も5バックで対応された前半の日本は、浅いラインの裏を狙っていた。それ自体は正解ではあるけれども、攻撃が散発的になって日本のリズムではなかった。 後半に流れを変えるきっかけになったのは鎌田と守田のポジショニングである。 前半にPKにつながるクロスボールを蹴った鎌田だが、スペースを消されてなかなかパスを受けられなかった。すると、鎌田はポジションを下げた。左右のセンターバック(CB)の横あたりまで下がる。ここまで下がると、バーレーンとしては鎌田につききるのは難しい。5バック化しているときは中盤の守備者が3人になっていて、鎌田を深追いすれば2人になってしまってスペースを埋められない。フリーになった鎌田は浅いライン裏へ伊東純也、三笘を走らせるパスを送って攻略した。 鎌田の下がる動きに連動して、守田が前進を開始。守田がポジションを上げたことで、中央部に南野、守田、鎌田、上田が集結。中央に人を増やし、狭いエリアでも確実につなぐことで前半に攻め込むことができなかった場所を制圧した。 ポジションを上げた守田は56分に伊東へのパスで決定機を演出。60分には上田とのワンツーで抜け出して3点目をゲット。64分にも三笘からのグラウンダーのクロスに合わせて4点目を決めた。このゴールは鎌田から裏へ走る三笘への正確なパスが起点になっている。 守田と鎌田は所属クラブで3-4-2-1の運用に精通しているせいか、的確な打開策を見出していた。
⚫️今のところは効果的は超攻撃的布陣
4点を失って集中力が落ちてきたバーレーンに対して、交代出場の久保建英、中村、小川が容赦なく追加点を狙っていく。もはや相手はバーレーンというより、ポジション争いのライバルになっていた感があった。 小川が中村のシュートのこぼれ球を頭で押し込む執念を見せて5点目。さらに久保のボレー、伊東のラストパスから交代で入っていた浅野拓磨のシュート、久保のパスから中村が抜け出して小川がシュートと、執拗にゴールに迫っていった。 ワールドカップ(W杯)のアジア出場枠が拡大し、各グループの1、2位はストレートイン。3、4位でもプレーオフのチャンスがある。4位でも望みがあるので、中国やバーレーンは日本に勝てなくても失点をなるべく少なくしたかったはずだ。どちらも守備を固めている。しかし、日本には通用せず、いずれも大量失点となった。 日本の攻撃型3バックが強力すぎたのだ。三笘、伊東の両翼を止めるのは至難。さらに中央も守田が2シャドーに加勢する分厚さがある。バーレーンはコンパクトな守備で前半は対抗できていたが、鎌田と守田の機転によって分解されるとアタッカーの個の能力に蹂躙されて抗う術もなくなった。 今予選の序盤を戦うにあたって、日本の超攻撃布陣は効果的だった。ここから流れが変わる可能性もないとは言えないが、格の違いを見せつけた連勝だった。 (文:西部謙司)
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