やせ形患者には大きな薬効認められず 心血管疾患の予防効果がある糖尿病治療薬
糖尿病治療薬の一つで、他の治療薬と比べて心血管疾患(CVD)の予防効果があるとされる「SGLT2阻害薬」が、やせ形の患者には大きな効果が認められなかったと、京都大医学研究科などの研究グループが全国健康保険協会(協会けんぽ)のデータ分析で明らかにしたと発表した。 【写真】京大グループの治療法開発、他にも SGLT2阻害薬は余分な糖分を尿から体外に排出する新しいタイプの治療薬で、糖尿病患者の発症リスクが高いCVDを予防する効果が見込めるとされる。ただ、体格指数(BMI)25未満の肥満ではない2型糖尿病患者については臨床研究で効果が検証がされていなかったという。 研究グループは、SGLT2阻害薬を服用する患者約14万人(うちBMI25未満は約3万人)を、協会けんぽの2015年から7年間のデータから抽出。CVD予防効果が小さいとされる別の治療薬DPP4阻害薬を使う患者も同数選び、服用開始以降に脳梗塞や心筋梗塞といったCVDを発症した割合を比較した。 その結果、SGLT2阻害薬の利用者のうち、肥満の糖尿病患者ではCDV発症割合が減少した一方、BMI25を下回る普通体重以下ではDPP4阻害薬との差はなかった。 研究グループの京大医学研究科博士課程学生で循環器内科医の森雄一郎さんは「やせ形で効果があった患者もいたはずで、どのような人に見込めるのかを詳細に検討し、(効果を見極めた)個別の治療提案につなげたい」としている。調査結果は10月に英医学専門誌に掲載された。