【独占情報コラム】ローマ、デ・ロッシ電撃解任はなぜ起きた。「これは確実なことだが…」繰り返されたカオスの原因
⚫️善か悪か、それが「ロマニスタである男の宿命」
怒りの対象はクラブ幹部だけでなく、主将のロレンツォ・ペッレグリーニ、副キャプテンのジャンルカ・マンチーニ、ブライアン・クリスタンテといったチームの重鎮にも向けられた。3人はスタメン発表のアナウンス時だけでなく、ボールを持つ度にブーイングを浴びた。 ロ・モナコ・ディレクターは「ローマのカピターノというのは、サポーターとの間でしばしば意見が分かれるものだ。(フランチェスコ・)トッティやデ・ロッシでさえも、困難な時にアンチサポーターから怒りの矛先を向けられている。我々のラジオ番組に、ちょうどジュゼッペ・ジャンニーニがゲスト出演してくれたのだが、彼もまたペッレグリーニと同じようにサポーターとの間で意見が分かれた選手だった」 「これは、ローマ生まれで、ロマニスタである男の宿命でもある。全ての試合で、スーパーなプレーを見せるか、あるいは、抗議されるか、そのどちらでしかないのだ」と説明する。 そして、"イル・プリンチペ(王子)"の愛称で愛されたジャンニーニは、そのラジオ番組でローマ市内のアマチュアクラブ、ALMASの後輩でもあるペッレグリーニに対し、「普通のことだ。私も経験したし、(ブルーノ・)コンティや(ロベルト・)プルッツォもブーイングを受けた。選手のキャリアには、上手く行かない時期があるものだ」と自らもサポーターから、非難されたことを強調。 「前を向き、サポーターの声に対応するにはバランス感覚が必要だ。彼はその資質を持っているように思う。これまで大きな論争を引き起こすこともなく、常にチームに貢献してきた。時間をかけて待つ必要がある。選手は常に100%の状態ではない」と、カピターノを擁護した。
⚫️「むしろローマにはメリットしかない」
『ガッゼッタ・デッロ・スポルト』もウディネーゼ戦でのペッレグリーニに対し、チーム最低の6をつけながらも、「ずっとブーイングされてプレーするのは簡単なことではない。これはローマが円滑に進めるために解決されなければならない問題だ。今の状況に苦しんでいるが、それでもなんとか上手くやっている」とサポーターのブーイングは受け入れられないものだと非難している。 ユリッチが新監督に就任したローマは、ウディネーゼに3-0と快勝。今季の初勝利を手にした。今季は混戦模様で、首位は無敗のトリノが立つが、ローマとの勝ち点差は5しか離れていない。十分に挽回のチャンスはある。ただ、不安なのは経営陣のローマに対する今後の動向だ。 フリードキン・オーナーは23日、プレミアリーグのエバートンを正式に買収。これで所有するクラブは、ローマとフランスのナショナル・ドゥ(4部リーグ)に所属のカンヌに加えて3つ目となった。 フリードキン親子は連名でローマ公式サイトにおいて、「エバートン買収がローマに対する影響は及ばない。むしろローマにはメリットしかない」と今後もローマに対して、これまでと変わらないエネルギーを費やすと強調し、サポーターの不安に対し、すぐに反応した。 しかし、デ・ロッシをトリゴーリアから追い出し、その上、目標と掲げるCL出場権を逃すようなことになれば、ロマニスタの怒りは再び沸点に達することになるだろう。ローマに帝国時代の“パクス・ロマーナ(ローマの平和)”と呼ばれたような平穏な日々が、果たして訪れるのだろうか。 (文:佐藤徳和)
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