HPVワクチン「キャッチアップ接種」に動く大学…キャンパスに会場、啓発メール
子宮 頸けい がんなどの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンについて、8割以上の大学が、定期接種の機会を逃した17~27歳の女性を公費で救済する「キャッチアップ接種」の推進策を取っていることが、全国大学保健管理協会などの調査でわかった。救済期限の来年3月までに女子学生らの接種機会を確保する狙いがある。 HPVは性交渉で感染するため、思春期以降、なるべく早い時期に接種する方が効果が高い。ワクチンは2013年4月、小学6年~高校1年相当の女子を対象に定期接種化されたが、接種後の痛みなどの訴えが相次ぎ、厚生労働省は同年6月に積極的な呼びかけを中止した。
その後、国内外で安全性や有効性を示す知見が蓄積されたため、同省は22年4月に呼びかけを再開。キャッチアップ接種も始めた。今年11月末までに初回を打てば、来年3月末までに計3回を無料で受けられる。自費なら約9万円かかる。 だが大阪大の上田豊講師らの試算では、大学生世代の接種率は1割程度(23年3月末時点)にとどまる。 同協会などが今年9月、全国の国公私立514校を対象にアンケートを実施。回答した235校のうち204校(87%)が推進策を「実施」「実施予定」とし、対象年齢の女子学生にメールで通知したり、啓発メッセージ入りの生理用ナプキンを女子トイレに設置したりしていた。
岡山大では23年度、大学病院で計9日間の接種日を設け、延べ約400人が接種を受けた。今年度は2か所あるキャンパスの保健管理センターで接種できる体制を整え、10月末までに延べ約520人が利用した。同センターの樋口千草准教授は「学校の保健室のように身近で安心感があり、受けやすいのでは」と話す。 滋賀医科大(大津市)では昨年6月、大学病院に週2日の接種日を設け、これまでに延べ約180人が接種している。