「若手を叱るな」「本気ですか?」で組織崩壊の悲劇 「プライドを傷つけない」叱り方を全力で考えよ
■部下を叱る際にはプライドを傷つけない もちろん若手の離職を防ぐことは大事なことです。 ただ、それを重視するあまり、会社の規律や雰囲気、士気、そして他の社員を犠牲にしてよいかというと、決してそうではないでしょう。 そのため、叱るべきときに叱ることは必要だと考えます。ただし、離職されないように叱り方には細心の注意を払う必要があります。 まず、叱る際には絶対にプライドを傷つけないことです。 人にはプライドを守ろうとする本能があるため、プライドを傷つけられると心を閉ざし、その人と距離を取ろうとします。
そのため、プライドを傷つける叱り方をすると部下との関係が悪化し、離職に至るおそれもあります。 プライドを傷つけない叱り方の1つとして、大前提として相手を肯定したうえで部分的に叱る方法があります。例えばこんな叱り方です。 「君は仕事の上達が早いよね。やっぱりこういう能力が高いんだと思う。大したもんだ。ただ、この点はちょっとできていない。それはもったいないから、今のうちに直しておこう。とはいえその能力を伸ばしていけば今後が楽しみだ。期待してるよ」
こういった叱り方をすることで、部下のプライドが傷つく可能性を減らせます。 ただ、こういった叱り方をしたほうがいいと頭ではわかっていたとしても、怒りが生じるとそれが難しくなります。 怒りという感情は心拍数を上げ、戦闘態勢をとらせ、攻撃心を喚起し、「怒る」というコミュニケーションをとらせようとします。 部下を叱ることは必要ですが、部下を怒ってはいけません。そこで知っておいていただきたいのが、「叱る」と「怒る」の違いです。
「叱る」は相手や組織のために相手の行動を改善させるためのコミュニケーションであり、その目的は「行動変容」です。 一方、「怒る」は生じた怒りを相手にぶつけるコミュニケーションであり、その目的は「攻撃」です。その攻撃の効果を高める方法が「プライドを傷つける」という方法です。 そのため、怒りが生じるとわざとプライドを傷つけようとさえします。 ■叱る目的を常に意識する そうならないためにも、怒りが生じているときは、部下を叱ろうとせず、一旦、怒りが収まるまで待つことです。