「若手を叱るな」「本気ですか?」で組織崩壊の悲劇 「プライドを傷つけない」叱り方を全力で考えよ
今、多くの企業が人手不足に悩み、離職を防ぐことは喫緊の課題となっています。 中でも上司に叱られて若手が辞めるケースは多く、それを防ぐために「若手を叱るな」と指示が出ている会社もあります。ただ、その指示の弊害も聞かれます。 そこで、経営心理士として1200件超の経営改善を行い、経営心理士講座を主宰する、一般社団法人日本経営心理士協会代表理事の藤田耕司氏の著書『離職防止の教科書――いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』から一部を抜粋・再編集し、叱らないことの弊害と叱るうえでの留意点についてお伝えします。 【書籍】「離職の理由と対策が体系化されている」「事例が豊富で明日から使える」と話題の『離職防止の教科書』
■「若手を叱るな」でベテラン社員が辞める あるメーカーに勤務する30代男性からこんな話を聞きました。 「最近の若手は叱ったらすぐ辞めるから絶対に叱るなと会社から指示がありました。だから若手が遅刻しようがミスしようが叱らないようにしてます。 そしたら若手の勤務態度がどんどん悪くなってるんですが、上司はずっとこらえ続けてるわけですよ。 それで会社の雰囲気も悪くなって、変にギスギスし始めて。それを見るに見かねた部長が社長に直談判しに行ったんです。そしたら社長に『今、募集かけたって新人が採れないのに、叱って若手が辞めたらどうすんだ! お前責任とれんのか!』って言われて、聞く耳を持ってくれなかったらしいんです。
それを契機に何人かベテラン社員が辞めました。うちの会社、崩壊寸前ですよ」 私は経営心理士、公認会計士として経営心理学に基づいた経営改善の仕事をしていますが、その中で多くの経営相談を受けます。 その中には「若手を叱るなという指示を出したものの、それが原因で組織が乱れ始めた。どうすればよいか」という相談が何度かありました。 「若手を叱るな」といった指示を出す会社はありますが、それで若手社員が頻繁に問題行動を起こさなければ、その指示は問題なく運用できます。