<チ。 -地球の運動について->小西克幸×中村悠一×仁見紗綾インタビュー(1) 「自分は懸命に生きているか」自問自答させる魅力
中村さん 僕はマンガを読んだことはなかったのですが、作品自体は知っていました。オーディションで作品に触れてみて、何というか、ムカついたから殴るぞ、みたいな作品ではないじゃないですか(笑)。理性的というか。そういう作品自体が少ないので、オーディションを受けることも、実際にやらせていただくこともなかなかない。そうした中で、非常にテーマ性が強い、面白い作品だと率直に思ったので、僕もオーディションではもちろんやりたいと思いましたし、参加できると決まった時はうれしかったです。オーディションを受けてから収録まで間があることもあるので、オーディションに挑んだ時の気持ちをまだ覚えてるうちに、この火を持ったまま臨みたいなとすごく思ったのを覚えています。
--「チ。」の魅力を感じたところは?
仁見さん 私は本を読むのは結構早いほうなのですが、この作品は全然すらすら読むことができなくて、飲み込むのに本当に必死になりました。そのくらい人間の重みがすごく伝わってきたんです。読みながら「自分はこんなに一生懸命生きているかしら」「こんな熱量を持って生きてたかしら」と、いろいろなことを振り返りながら読んで、どっしりきました。
小西さん 地動説、天動説の話ではあるのですが、その周りで生きている人たちの物語が中心になってくるのかなという感じがしました。その人たちがいろいろな理由で自分の信念を曲げなかったり、覚悟を持って前に進む。死ぬということすらも前に進むこと、というわけではないのかもしれないですが、やはり生き方がすごくて。「命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか?」というキャッチコピーをどこかで目にしたのですが、それは自分にはないなと思って。読んでいくうちに、登場する人たちの生きている時代は違うけど、一つの地動説というものでずっとつながっていて、その魂の火は消えない。じゃあ次の時代にはどうなっていくんだろうな?と、どんどん引き込まれていきましたね。