【AIプロジェクトの狙いは?】電通デジタル 永山氏 延命氏「『対話型』で新たな需要を開拓できる」
他にもAI活用の可能性は?
――どのようなクライアントがAI開発のターゲットとなるのか? 延命:企業規模の大小というよりは、課題に対してAIで解決したいという意思を持っているかが重要だと考えている。クライアントの中でもAI活用については温度差がある。もちろん大手企業の方が資本的な体力や、AIを使う戦略的な余裕がある。ただ、現場の中に意思決定できる方がいるプロジェクトの方がAI活用は進みやすい。 ――4つのアクション以外にもAI活用の可能性はあるのか? 延命:AIを活用してデータを分析し、LTVが最も高くなるお客さまの導線「ゴールデンパス」を設計する取り組みはすでに実施している。 AIとの対話を活用した領域は未開拓の部分が大きく、可能性は大きいと思っている。アパレルの事業者によると、AIで過去の購買履歴から行動を予測して、お薦めするような商品が必ずしも最適にはならないという。対話の場合は、リアルタイムの事実やモーメントを捉えて商品をお薦めすることができ、より顧客の感情に寄り添ったサービスを提供できる。リアルの販売員がまさにそういった接客を提供している。 永山:ゴルフダイジェスト・オンラインさんがゴルフ場予約ページに、対話型AIを試験的に設置した。ゴルフをプレーする方が一番、話したいタイミングはコースを回った後だが、家族がゴルフをやらない場合、話す相手がいない。そんな時、AIが話し相手になってくれる。コースの感想を話し合う中で、「パターが短かった」とAIに話せば、「こんなお薦めのパターがあります」と紹介することもできる。そのパターが気に入れば、そのままECサイトに誘導して、購入してもらうこともできるだろう。 ――「Commerce AI Lab.」の目標は? 永山:現段階では支援するプロジェクトの数よりも、質の方が大事だと考えている。 まずは1社の新しい体験を作り、売り上げなどの成果に結び付けたい。そのような事例を作ることが大事だ。1つの成功例ができれば、自ずと広がっていくだろう。
「日本ネット経済新聞」記者 手塚 康輔