いまだ「マンガは読書と認めない」という考えが根強い日本に対して、じつは「英国」では「コミック」読書にも大きな価値が認められていた…!
動画サイトで物語を「聴く」!?音声コンテンツ調査
音声コンテンツの調査のほうもおもしろい。「音声コンテンツ」といってもオーディオブックやpodcastだけでなく、人間による読みきかせなども含めて「音声コンテンツ」としているのだが、オーディオブックは16.6%、podcastは23.6%、親/保護者から物語を聴く59.7%、教師/図書館員から物語を聴く53.4%、動画サイト(YouTubeなど)で物語を聴く69.9%と、YouTube等の動画サイトが最多になっている。 筆者はこの結果を見て、「動画サイトで音声だけ聴く?」とおどろいてしまった。しかし、ニコニコ動画が出てきた2000年代のころから「ゲーム実況の動画を流して画面は見ないけど聞きながら勉強してる」という10代(当時)の話を聞いたことがあったことも思い出した。たしかに有料サービスと契約しないと基本的には聴けないオーディオブックと比べれば、物語を「聴く」場所としても動画サイトを選ぶ方が身近なのかもしれない。 具体的にどんなサービスを使っているのかについての詳細はそれほど書かれていないが、短いホラーストーリーをTikTokで聴いたり、Reddit(5ちゃんねるのような匿名掲示板)の投稿をテキスト読み上げ機能を使って聴く(#AskRedditというハッシュタグの動画が動画サイト、ソーシャルメディア上では100億回以上再生されている)、Minecraftのゲームプレイ映像をBGVとして流す、という聴取方法が触れられている。 「それって結局、動画を観ているだけじゃないの?」と思いたくなるが、44.8%の子どもが「動画視聴と比較して音声コンテンツの方が想像力を刺激する」と回答しており、子どもたちのイメージ形成能力を豊かにする可能性が示されている。 なお、この報告書には書かれていないが、ニュースレターサービス大手のsubstackや中国のウェブ小説サイトでは文章の読み上げ機能が用意されている。「ながら聞き」需要や「字は苦手だが聞くのは好き」な層を見越したものだろうが、この報告書に書かれている「聞く」需要の意外な大きさを見ると、日本の文章系サービス、サイトでも同様の機能を実装してほしいと感じる。 ……と、少し突飛なところから紹介してしまったが、この報告書で強調されているのは、小さな子どもだけでなくて14歳以上でも親や教師から読み聞かせを楽しむ割合が高いことである。 人間による読みきかせの価値の高さは10代に対してもなのだ、と書かれている。日本では小学生までは読みきかせは頻繁に行われているが中学生以上になると激減する。しかし、聴くことへの需要や効果、価値が薄れるわけではないということだ(「読みきかせ」という名前が子どもっぽくてよくないのかもしれない。中学生以上には「朗読会」などと呼んだらまた印象や需要も変わるだろう)。 30.6%の子どもが、音声コンテンツを通じて紙の本や電子書籍への関心を持つようになったと回答している。音声と活字の間には相乗効果があるようだ。