親が亡くなりました。親の遺産に不動産があるのですが、不動産は相続のときにトラブルになりやすいと聞きます。どのようなリスクがあるのでしょうか?
不動産に問題がある場合
不動産そのものに問題があるままになっているケースもあります。 例えば、隣家の土地との境界が曖昧な場合や、隣の土地から自身の土地に越境物がある場合(逆の場合も含めて)、自身の自宅などがある土地が借地の場合で、借地契約が曖昧な場合などなど、例を挙げればきりがありません。 自身が元気なうちに権利関係を明確にしておけばよいのですが、曖昧なまま、あるいは紛争があるまま亡くなると、その問題を次の世代が処理しなければならなくなります。相続人はそれまでの経緯もよく分からず、問題解決に苦労することは目に見えています。
納税資金・代償金が確保できない
東京など地価が高い場所や、古くから地主の方などに多いケースとして、納税資金の確保に苦労することがあります。 相続財産が不動産とわずかな現預金等の場合、相続財産の金融資産だけでは相続税が支払えないケースも少なくありません。相続人が複数の場合、分割することが難しい不動産があると代償金の確保の問題もあります。 不動産には、「流動性が低い」「分割しにくい」「評価額の算定に幅がある」などの特徴があります。 分割できない不動産の場合、その不動産を相続する人は相続財産あるいは自身の財産から相続税を支払わなければなりません(物納などの方法もありますが、物納する場合にも事前に準備しておかなければならないことがいろいろあります)。 遺言書があったとしても、もめる可能性があります。 2019年に相続税法が改正され、遺留分を侵害された相続人が侵害している相続人に求める権利が「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」となりました。簡単にいうと、「遺留分を侵害した部分をお金で解決しなさい」ということです。 この変更により、遺留分を侵害している相続人は侵害している部分を評価し、その額を金銭で支払わなければならなくなりました。しかし、その金銭が確保できない場合、相続した不動産を売却して現金化しなければ支払えないことにもなりかねません。