親が亡くなりました。親の遺産に不動産があるのですが、不動産は相続のときにトラブルになりやすいと聞きます。どのようなリスクがあるのでしょうか?
国内で亡くなる人の数は150万人を超えています。その数だけ相続があります。 国税庁の資料によると、令和4年度に申告された相続財産に占める不動産(土地と家屋の合計)の割合は約4割弱、東京だけに限定すると4割を超えます。金額ベースでもここ数年、不動産の額は大きくなっています。 相続の問題児ともいわれる「不動産」。本記事では、不動産が相続財産にある場合のリスクについて考えます。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続対策は相続税対策だけではない
発生した相続のうち、相続税の納付が必要になる割合は10%弱ですが、大都市圏を抱えるエリアでは、その割合はさらに増えます。東京を例に挙げると令和4年に発生した相続のうち、相続税が課税された割合(課税割合)は15%にもなります。 この課税割合は、相続税が課税された件数だけをカウントしています。相続税の申告では、特例を適用した結果「非課税」となる場合にも申告は必要です。申告を行った割合で考えるとこの割合は大幅に増えると考えられます。 平成27年以降に発生した相続では基礎控除が3000万円+法定相続人の数×600万円、平成26年までと比べて4割減となったことも、相続税の課税対象者が大幅に増えたことが一因です。かつて「富裕層だけの問題」と考える人が多かった相続税について、思った以上に身近な税金であることが分かるのではないでしょうか。 「相続対策」とは、「相続税対策」だけではありません。相続対策の目的は、「円満に次の世代に財産を継承すること」です。相続税対策として不動産の活用は有効な方法の一つではありますが、過度な節税対策は相続発生時にかえって争いの種になりかねません。 円満、円滑に遺産分割するにあたって、相続財産に不動産があるともめるリスクが高まるため、事前の対策が求められる場合があります。
相続財産に不動産がある場合のリスク
相続財産に不動産がある場合のリスクには、次のようなものがあります。 ●不動産の名義の問題 ●不動産に問題がある場合 ●納税資金・代償金が確保できない ●不動産を含めた遺産分割の難しさ 以下で、一つずつ確認していきましょう。