夢があるなら「一歩、踏み”外せ”」アメリカの大学のプロ講師が語る、他の人とは圧倒的な差をつける「思考回路」
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第35回 『「ミスをするな」で減るのは「報告数」だけだった...「保守的な」会社で同じミスが「頻発する」納得のワケ』より続く
起業家の思考回路
自ら起業しようと考える人は、ある意味、普通の社会人とは違います。ほとんどの人は、会社に就職し、組織の中で生きていきます。それはとても大変なことで、才能も必要ですし、その仕事なくして、社会は成り立ちません。 一方で、アントレプレナー、起業家は思考回路が違います。世界を変えてやろうという夢がある。それを実現しようと現実に動く意志がある。そしてもう一つ、大切なポイントがあります。 謙虚さです。 起業家はある意味、傲慢だという印象があるかもしれません。それくらいの個性、パワーがないとやっていけないというイメージもあります。たしかにそういった起業家もいます。しかし、私は、謙虚さは重要なポイントだと思っています。
謙虚さが重要なワケ
謙虚さは、周囲の声に耳を傾けることにつながるからです。そして、失敗の原因究明にも謙虚さを持ってあたります。周囲の意見も聞くので、より正確に原因を見つけることができるでしょう。 そして、その原因を自分に結びつけます。他者のせいにしない。まず、自分に原因があると考える。部下が起こした失敗でも、それを自分が防ぐことができたのではないかと考える。防ぐ工夫ができたのではないか、どうやれば防げたのかと考える。 これは謙虚だからこそできる思考です。200人以上の失敗経験者をサンプルにした調査では、失敗の原因は自分にあると考える人のほうが、2回目以降の起業の成長率が上がっているという結果が出ています。これは前回の失敗から学び、次回に役立てていること、そしてその効果が出ていることを示しています。 手塚治虫の『火の鳥』では、火の鳥は何度も蘇ります。炎の中から、生まれ変わるという表現をされています。起業家も同じです。燃え盛る炎、その灰から何度でも立ち上がります(“Rising from the ashes”という私の共著論文のタイトルはここからヒントを得ています)。これは起業家にとっては当たり前のことであり、過去の実績からはっきりわかっています。 失敗に折れない。それが起業家です。 この企画はどうすれば成功するだろうか?どこを直せばより良い企画になるだろうか?このやり方で成功するのだろうか?もし失敗したらどうしよう? そう、起業前の悩みはつまるところ「失敗しないかどうか」です。しかし、先に述べたように、失敗は恐れるものではなく、むしろ歓迎すべきものです。 ならば、やるしかないはずです。