隣家とのわずか45cmの隙間に見つかった「白骨遺体」に「NTTが青ざめた」…大手だろうが例外ではない、知られざる「地面師詐欺」の実態
白骨遺体の衝撃
遺体は、新橋5丁目の一軒家に住んでいた高橋礼子のなれの果てだった。ホームレスのようなボロをまとい、うつぶせに倒れていたのである。彼女は古くから新橋の繁華街の一角を所有してきた有名な地主だった。 「地面師たちが資産家の彼女になりすますため、殺害してあそこに捨てたのではないか」 白骨遺体という衝撃も手伝い、そんな噂が不動産業界に広まったのは無理もなかった。ほどなくそのドラマのような噂話が半ば現実として、警視庁刑事たちの手を煩わせることとなる。 登記簿上、最終的な土地の所有者となっていたのが、NTTグループの不動産開発部門を担ってきた「NTT都市開発」だった。警視庁では、何者かが彼女になりすまし、土地建物を転売していた事実を突き止めた。NTTが青ざめたのは言うまでもない。 この新橋駅前の「白骨死体事件」では、偽造パスポートが使用され、似たような年恰好の女性が、地主の高橋礼子になりすましていた。捜査をしてきた警視庁愛宕署はその事実をつかみ、なりすまし犯も特定した。だが、本原稿を執筆しているいま現在、犯人グループは誰ひとりとして逮捕されていない。容易に摘発できない裏には、地面師事件の特殊性がある。 地面師事件は再びピークを迎えている。横行する地面師詐欺の渦中、警視庁捜査二課は2018年10月、ようやく積水ハウスが騙された不動産詐欺事件の本格捜査に着手した。 『測量開始のはずがパトカーが駆け付け、「ウチが買い取ったのに、本人確認もしたはずのに」…史上最大の「地面師詐欺」に泣かされたのはあの大手企業だった』へ続く
森 功(ジャーナリスト)
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