消えた“野生動物” 新型コロナの震源地 中国・武漢の「海鮮市場」で起きている変化 パンデミックから5年 今も封じ込められる「批判」の声
■「罪を償わせることが娘にとって最高の贈り物」真実のために今後も戦う 新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん 「私の家族は壊れてしまいました。この5年間は私の人生をすべて変えてしまったのです」 新型コロナによって“人生が変わってしまった”という楊さん。最後に今後どうするのか?聞いてみた。 新型コロナで娘を亡くした 楊敏さん 「新型コロナを通して政府が学んだことは情報の隠ぺいと口封じだけでした。私にはもう子どもはいませんしオランダに親戚もいません。残りの人生は真実を明らかにするために使いたいと思います。私は娘に何もしてあげることができず、良い母親になることができませんでした。政府に罪を償わせることが娘にとって最高の贈り物なのです」 今後も真実を明らかにするために戦い、政府に謝罪を求めていくという楊さん。なぜ娘は死んでしまったのか?納得できる答えが返ってくる日はくるのだろうか。 ■取材後記 今回取材した楊敏さんは新型コロナが流行し始めた際の武漢政府の初動対応に疑問を持ち続けていた。初動対応は正しかったと思うか?武漢の繁華街で聞いてみた。 武漢市民 「武漢政府の対応は素晴らしかったと思います。そうでなければ“英雄の都市”とは呼ばれないでしょうから」 武漢に観光に来た中国人 「武漢は中国国内でも対応が一番すごかったし最も早く対処していたと思う」 中国で武漢はコロナ禍を乗り越えた“英雄都市”として称えられていて、今回街で話を聞いた中国人も一様に政府の初動対応を評価した。 一方、批判の声はいまも徹底的に封じ込められている。11月には新型コロナ感染拡大の初期に武漢の実態を発信した市民ジャーナリストが逮捕された。一度、実刑判決を受け、その後刑期を終えて出所していたにもかかわらず再び拘束されたのだという。 新型コロナの対応をめぐっては日本を含む多くの国が混乱した。だからこそ、当時どうするべきだったのか、今でも議論が続いている。一方で議論すら許されない中国。これで、次なるパンデミック(世界的大流行)に備えることはできるのだろうか。
JNN北京支局 松尾一志
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