消えた“野生動物” 新型コロナの震源地 中国・武漢の「海鮮市場」で起きている変化 パンデミックから5年 今も封じ込められる「批判」の声
中国・武漢で新型コロナウイルスの最初の感染者が発症したとされる日から12月8日で5年が経った。流行の初期に集団感染が確認され世界が注目した“あの海鮮市場”はいまどうなっているのか?いまだ論争に決着がつかないウイルスの起源について武漢の人たちはどのように考えているのか?“震源地”武漢を取材した。 【画像で見る】中国・武漢の放置された海鮮市場、郊外に移転した新海鮮市場 ■「ずっと閉鎖されている…」集団感染の海鮮市場はいま 中国の中心部に位置する武漢市。新型コロナの感染が最初に確認された都市だ。12月2日に武漢市に入った取材班は市の中心部にある海鮮市場に向かった。この市場は流行の初期に集団感染が確認され、2021年1月にはWHO=世界保険機関の調査団も訪れた。おそらく世界で最も知られている海鮮市場の1つである。 市場の建物は現在もそのまま残っていて、人の背丈を超える高さの青い塀で囲われている。周辺の歩道には約5メートルおきに防犯カメラが設置してあり物々しい雰囲気が漂っている。市場の中は人気がなく使われていないようだ。ただ、建物の2階は眼鏡売り場になっていて通常通り営業している。当時の状況について聞いてみたが「市場の管理者に聞いて欲しい」と一様に口が重かった。この市場はずっとこのままなのか?周辺に住む人に話を聞いてみた。 市場の近くに住む女性 「市場はコロナが流行したときからずっと閉鎖されている。今後、国が市場をどうするのか全く知らない。スーパーマーケットにして欲しいね」 ■海鮮市場は郊外に移転 売ってはいけないものとは? 市場を囲っている青い塀に設置された看板が目についた。市場が郊外に移転したと書いてある。取材班は車を30分ほど走らせ移転した新海鮮市場に向かった。敷地のなかには鮮魚を扱う店がずらりと並んでいる。店の前に置かれた水槽のなかには生きのよい魚が泳ぎまわっていた。しかし、買い物客の姿は少なくがらんとしていた。 市場の中でどうしても見つけることができないものがあった。野生のウサギやイノシシなどだ。武漢などでは野生動物を食べる習慣があった。健康に良いなどと考えられていたためで、かつて海鮮市場では野生動物も買うことができたという。新海鮮市場で商売を営む人たちにいまも野生動物を扱っているのかどうか聞いてみた。