炎上した楽天則本と完封した西武菊池の差はなぜ生まれたのか?
150キロを越えるストレートが、ほとんど見られなかった則本に比べて、一方の菊池は、155、156キロをマークする素晴らしく伸びのあるストレートで楽天打線を5安打9奪三振無失点と沈黙させた。菊池にとってCS登板は初体験だったが、「プレッシャーはなくてワクワクしていた」という。 「絶対に先にマウンドを降りたくないという気持ちで」 「全体的に良かった。野手のみなさんが、早く援護点をとってくれたのでノビノビ投げました」 9回は続投を志願して121球の完封勝利。楽天に対して8勝0敗、防御率0.82という、キラーぶりは、ポストシーズンに入っても健在だった。連打は一度も許さなかった。 前出の評論家の池田さんは、「則本と対照的に菊池は、細かいコントロールは気にせず力で抑えた。調子がよく、先に点をもらったので、ますます楽に大胆に攻めていけるという好循環を生んだ。とくにスライダーがシーズン中でも見られないくらいに曲がりが大きく素晴らしかった。ペゲーロなど、まったくタイミングが合っていなかった。打線も爆発したし、一気に西武が決めてしまうほどの勢いを感じた」と言う。 楽天は、2番にペゲーロを置き、外国人を3人並べるという開幕時のスタメンとはガラっと代わり、最強打線を組むことができなかった。対して西武は、山川の成長、新人源田の独り立ちなどで、おかわり君を7番に置けるほど、ここにきてメンバー構成が進化していた。 前出の評論家、池田さんは、「打線も、西武は山川が育って4番に入り、メヒアがベンチで、中村が7番。逆に楽天はアマダーも登録できずに調子を落としているペゲーロを3番に入れなければならないほど、春先の超攻撃的打線を組めなくなっていた。そういうシーズンを通じて変化してきた勢いの差がゲームに出た」と分析していた。 崖っぷちの楽天は、昨年まで、このマウンドが主戦場だったFA移籍の岸を第2戦の先発に立てる。だが、岸は、この本拠地のマウンドが西武時代には苦手にしていたというから、これもマイナス要素。 0-7とされた時点で、もう勝負ありと見たのだろうか。メットライフドームにかけつけていた楽天の三木谷オーナーは、試合途中の5回に球場を去っていた。