炎上した楽天則本と完封した西武菊池の差はなぜ生まれたのか?
意外な結末だった。パ・リーグのクライマックスシリーズ、ファーストステージの第1戦。16勝6敗、最多勝利&最優秀防御率の“2冠”、菊池雄星(26)と、15勝7敗、奪三振王の則本昂大(26)の日本を代表するエース対決で幕を開けた西武対楽天は、0-10という大味のスコアで西武の大勝に終わった。5安打9奪三振で完封した菊池と、プロ最多の6死四球で4回7失点KOの則本。2人の何がどう違ったのか。 試合後、楽天の梨田監督が言った。 「ああいう則本を初めて見た。厳しいところをボールに取られて乗れなかった」 まさかのエースの炎上だった。 その立ち上がりに一死からスイングしようとアクションを起こした源田の左太ももにスライダーが当たった。そして続く浅村に147キロのインハイのストレートをレフトポール際に運ばれる。先制2ラン。 「まさか、打てると思ってなかったのでびっくりしました」とは浅村の談。 走者が出たらインサイド。 則本の配球傾向を読まれて、狙い打たれたが、ストレートに威力がなかった。 そして、結果的に追加点にはならなかったが、続く山川には、フォークをすべて見極められ歩かせたのである。今季三振を量産したフォークに手を出してくれない。落ち始める場所が早かったのだ。 誤算は3回である。アウトコースギリギリにコントロールした微妙なボールが、ことごとくボールと判定された。2つの四球が絡み、一死満塁のピンチを招き、おかわり君を迎えると、ここでもストライクと判定されてもおかしくない外のコースをボールと判定され、ひとつ内側に入れたボールを簡単に犠飛にされた。 続く炭谷には、スライダーを狙い打たれた。これもシーズン中の配球を読まれたもの。金子には、この日、5つ目の四球を選ばれ、1番打者につながれた。首位打者、秋山には、うまく逆方向へ運ばれてタイムリー。さらに源田にまでフォークを拾われてセンターへ。このイニング、打者一巡の5点。もう則本には投げるボールがなくなっていた。まるで力感がなかった。 「情けない。細かいコントロールができなかった。こういう試合に勝たないと意味がない」 試合後、則本も沈痛な表情。 パ・リーグの野球に詳しい評論家の池田親興さんは、炎上理由をこう分析する。 「調子が悪いことに輪をかけてボールがいかないので、コントロールに気をつけていたようだが、そこで審判との相性が悪く、きわどいコースがすべてボールとされて乗っていけなかった。最後まで修正がきかずに配球に偏りも出て狙われていた。打たれて気持ちが入り、また力むという悪循環を断ち切れなかった」