クルマは本当に高くなったのか? 現在・10年・20年前を比較してわかった妥当な価格設定の理由。
輸入車の値上がりは為替が影響か
それでは輸入車はどうだろう。BMW 320i M Sportというグレードで比較してみよう。2004年の価格は491万円、2014年は522万円、現在は686万円である。ずいぶん高くなっている感じがするが、輸入車の場合為替の影響も考慮する必要がある。1ユーロは2004年の平均で約134.5円、2014年は約142.3円、現在(2024年7月10日現在)は約174.7円である。 この為替の変動だけを考慮し、2004年の491万円を基準とした価格を計算すると2014年で約520万円、2024年は638万円になる。2004年(E46型最終年)と2014年(F30型)を比べるとボディサイズ、パフォーマンス、装備とも大きく向上しているので、為替を差し引いて考えるとコストパフォーマンスは大きく向上していると言えるだろう。2024年(G20型)は為替の影響以上に高価になっているが、F30型よりさらに向上した装備やボディサイズを考えると納得できる範囲ではある。 しかし為替の影響は大きく、輸入車は手を出しにくくなったと言わざるを得ない。なにしろ為替だけで30%ほどアップしているのだから。車両本体だけでなくパーツも高くなっているので、維持費にも影響があるはずだ。 日本車に限っていえば、クルマが高くなったように見えるのは今までなかったような技術が次々と登場し、それらを多く装備する上位グレードの価格が上方に伸びて、同じモデルであっても価格レンジが広まっているという見かけ上の印象からくるものだといえる。安全装備など、重要な装備まで省いて見かけだけ安くしたグレードもほとんどなくなって下限価格が上がっていることもその印象を強めているかもしれない。 総合的に見ると、確かに表面的には価格は上がっているものの、装備や質感、車としての仕上がりを考えれば10年前、20年前に比べかなりリーズナブルになっていると言えるだろう。
文=山崎 明