クルマは本当に高くなったのか? 現在・10年・20年前を比較してわかった妥当な価格設定の理由。
マツダ・ロードスターも高くなっているが……納得の価格という説
次にスポーツカー、私も愛用するマツダ・ロードスターを見てみよう。私が最初に購入したのはNB型の後期のRSグレード、現在愛用しているのはND型のRSグレードなので、RSグレードで比較してみたい。2004年のRSグレード(NB型)は246.75万円、2014年のRSグレード(NC型)は270万円、現在(ND型)のRSグレードはなんと367.95万円である。なんと10年前より約100万円高くなっている。 エンジンを見ると2004年は1800ccで160馬力、2014年は2000ccで170馬力なのに対し現在のモデルは1500ccで136馬力なのだ。これだけ見ると性能が大幅ダウンしているにもかかわらず高くなっていることになる。しかしND型ロードスターはNC型より圧倒的に売れているのだ。装備を見てみると、先進の安全装備やインフォテイメントシステムが標準となっており、それだけでかなりの価格差が説明できる。 しかし一番重要なのは、ND型はライトウェイトスポーツとしての理想を追求し、これだけ装備を満載しながら車重を1040kg(RSグレードの場合)に抑えていることだ。NC型は1120kg、NB型でも1080kgもあったのだ。そのためにアルミ製のパーツをたくさん使ったりしてコストをかけている。また内装の質感も圧倒的に異なり、ND型の上位グレードであればやや大げさに言えばポルシェから乗り換えてもそれほど違和感はない(私がまさにそうだったのだ)。つまりND型ロードスターは価格に見合う価値を持ったモデルに成長しているのである。だから高くても皆納得して買っているのだ。 アルファードもロードスターと同じようなことが言えるだろう。10年前、アルファードは308.6万円から買えたのだが、最新のアルファードはもっとも安いモデルが540万円なのだ。しかし最も安いモデルでもその装備や質感は10年前の500万円超のモデルを凌駕するもので、廉価グレードを思い切って廃した結果なのである。それゆえ確かに下限価格は大幅に高くなっているが、売れ行きは絶好調、中古車市場ではプレミアム価格がつくほどの人気なのである。