クルマは本当に高くなったのか? 現在・10年・20年前を比較してわかった妥当な価格設定の理由。
最近、クルマの価格が高くなったという話をよく耳にするが、果たして本当なのだろうか。そこで、クルマの価格について、2024年、2014年、2004年を比較して、検証するすることにした。消費税の変化や新技術の導入などの変化もあるが、意外にも妥当な価格設定だということがみえてきた。 【画像】消費税は3%にはじまり、5%、8%、10%と引き上げられ……クルマの価格の影響は?
トヨタのヤリスもホンダのフィットも高くなった……と思いきや?
最近、クルマの価格が高くなったと嘆く話を良く耳にするようになった。確かにNDロードスター(4代目)を購入した時、以前NBロードスターを買った時よりかなり多く支払ったし、ちょっと前まではベーシックカーであれば100万円台前半で買えたような記憶がある。 果たして本当にクルマは高くなっているのか、冷静に検証してみた。比較したのは現在(2024年)と10年前の2014年、20年前の2004年である。 この20年の間には消費税の変化がある。現在消費税は10%だが、10年前の2014年は消費税が8%に上がった年だった。20年前の2004年は5%だったのだ。価格は税込みなので、その分が高くなるのは仕方がない。 まずはベーシックカーから見てみよう。トヨタのベーシックカー、ヤリスを見てみる。ヤリスの前身はヴィッツである。車にはグレードがあるのでどのグレードで比較するのが適当か迷ったが、2004年のヴィッツ1300Uというグレードを基準にしてみた。 2004年当時の価格は132.3万円である。確かに100万円台前半で、私の記憶通りである。それが10年後の2014年には同グレードが155万3143円となった。数字が細かいのは消費税がこの年に上がったためである。約23万円の差だがそのうち消費税分が4.3万円くらいなので実質的な差は18.7万円くらいだ。装備の差はVSCとトラクションコントロールくらいだが、エンジンの出力が87馬力から99馬力と高まっている。まあ妥当な値上げと考えて良いだろう。 それでは現在のヤリスはどうか。ヤリスには1300ccモデルはないので、1.5Xというモデルを選んでみた。価格は165.5万円である。10年前より10万円ほど高くなっているが消費税の増税もあるし排気量1500cc、120馬力のエンジンを搭載しているのでまずまず納得できる価格差だろう。 しかし装備表を見て驚愕することとなる。まず10年前はオプション装備だったサイドエアバッグ・カーテンシールドエアバッグが標準装備となっている。10年前にはオプションでも選べなかったトヨタセーフティセンス(自動ブレーキをはじめとした予防安全装備)の歩行者・自転車の昼夜検知機能付きのものが標準搭載されている。さらにレーダークルーズコントロールやレーントレーシングアシスト(車線の中央を維持するようにステアリングをアシストしてくれる装置)、オートマチックハイビーム、ロードサインアシスト(交通標識を読み取り、制限速度等をインパネに表示してくれるシステム)も標準装備。さらに、マイカーサーチやヘルプネット機能を備えたT-Connectエントリーもついている。 たった10万円の差でエンジン向上分に加えこれだけの装備が加わっているのである。これは値上げどころか大バーゲンといって良いだろう。 ホンダ・フィットでも状況は似たようなものだ。2014年のフィット15Xと現在のフィットBASICを比較すると価格は165万円前後で変わらないにもかかわらず、自動ブレーキやアダプティブクルーズコントロール、車線維持支援システム、パーキングセンサー、サイド&カーテンシールドエアバッグなどが標準装備となっている。圧倒的にお買い得になっていると考えて良いだろう。 もっとも、上位グレードの価格は上方にかなり伸びている。ヤリス・ハイブリッドの最上位グレードにオプションの最新装備を加えると300万円近くになる。性能や装備内容を考えるとそれでも十分安いのだが、10年前のヴィッツは最上位モデルでも200万円以下だったことを考えるベーシックカーで300万というととても高く感じてしまうことが「車が高くなっている」と言われるようになった要因なのだろう。