《ブラジル》娘が25年越しに正義貫く=警察官になり父殺害犯逮捕
四半世紀越しの執念と信念がついに実を結んだ――1999年に父親を殺害された女性が警察官になり、25年経って犯人を逮捕した。彼女は長年犯人を追い続け、今年7月に殺人課に配属された後、父親の仇を討った。犯人は2013年に有罪判決を受け、懲役12年を求刑されていたが逃亡していた。27日付G1などが報じた。 ブラジル北部ロライマ州ボア・ビスタで25年前、9歳の少女だったジスライネ・シルヴァ・デ・デウスさん(36歳)は、突然父ジヴァルドさんを失った。彼は、ライムンド・アルヴェス・ゴメス容疑者との間で150レアル(約9400円、当時)の借金を巡る口論の末に至近距離で銃撃され、35歳の若さで他界した。 犯人は被害者を病院に運んだものの、その後逃亡。陪審員裁判により有罪判決を受けたのは、それから14年後の2013年のことだった。彼は、最初の逮捕状が発行された2016年以降、逃亡を続けていた。 父の死後、ジスレイネさんと4人の妹たちは孤児となった。一番下の妹はわずか2歳だった。 その後、ジスレイネさんは「正義を果たしたい」との一心で、大学に進学。法学を専攻して弁護士資格を取得した後、警察官として道を歩み、ロライマ州刑務所や刑務システム局(Desipe)でキャリアを積んだ。刑務所内で勤務していた時は、父親の殺人犯が収監される姿をいつも想像していたという。 今年7月19日にロライマ州警察の捜査官として正式に就任し、自ら志願して殺人課へと配属になった。彼女は父親殺害の犯人逮捕のための捜査に加わって犯人の行方を追跡し、9月25日、ついに容疑者の身柄を確保した。 殺人罪で有罪判決を受けたライムンド容疑者は、判決が確定した2013年から16年後の2029年に時効が成立する予定で、残り5年というところでの逮捕だった。 ジスレイネさんは、犯人が有罪判決を受けたのは、家族が諦めずに正義を貫き続けたからだという。彼女は「私たち家族が追及しなければ、陪審員裁判も開かれず、検察官は無罪を主張していたかもしれません。犯人が罰を免れなかったのは、私たちの努力があったからです」と語った。 彼女にとって、正義がようやく果たされたという思いがある。「これで父が戻ってくるわけではありませんが、犯人は本来果たすべき刑罰をやっと受けることになります。私たちにようやく平穏が訪れると思います」と彼女は締めくくった。