認知症、どうやって病院へ連れて行く?早期診断・早期絶望にならないために
第1回「帰省先でも簡単にできる! 親が認知症かどうかがわかる5つのチェック」では、年末年始に帰省した際にできる具体例をご紹介しました。実際試してみたら、認知症の疑いがあった、どうしよう……というのが、今回のお話です。
じつは最初かつ最大の難関が「まず病院に連れて行くこと」
こんな驚くべきデータがあります。「同じことを何回も言う、もの忘れが多くなってきた」と感じながらも、1年以内に病院を受診する人はたったの1割だそうです。2~3年経ってから受診するのが平均で、中には7~8年も経ってから受診とするという方もいます。 家族もご本人も「もの忘れは年をとると誰にでもある、だから問題ない」、「認知症と認めたくない」と思うため受診が遅れるのです。その間にも認知症は進行しますし、家族も接し方を間違えてつらくあたり、結果として認知症を加速させることにもなります。 「じゃぁ、正月明けにもの忘れ外来へ連れて行く!」 と思っても、そんなに簡単ではありません。認知症の疑いのあるご本人は、認知症だと全く思ってないのです。ここが認知症介護の最初の難関で、クリアできないと介護サービスすら受けられません。 わたしの母は、認知症かな?と思ってから2年かからずに受診したので、4年目に突入した今も平穏に生活しています。それは早期に対処できたからで、受診の先送りは自分の首をしめることになります。
受診してもらうための3つの例
「ちょっと様子を見よう、次の帰省は8月のお盆休みか」 遠く離れた親の場合、様子を見ると簡単に半年が過ぎてしまいます。ちょっとのつもりが1年、2年と先送り。せっかく認知症予備軍でくい止められたのに、発症させてしまう可能性もあります。ここからはどうやって病院で受診してもらうか、3つの具体例をご紹介します。 まずは家族が1人で「ものわすれ外来」へ行く どうしても病院へ連れていくことが難しい場合、ご家族の誰かが単独で「ものわすれ外来」へ行くことができます。病院には、単独での受診が可能かあらかじめ確認してから、行かれることをおすすめします。遠距離介護の難しいところは、ご本人の様子を長期間観察できないことです。医者に自宅での様子を伝えられるよう、可能であれば1週間程度、一緒に生活してみてください。 連れ出す時は「ウソも方便」 わが家の場合は、市の健康診断があるといって連れ出しました。受診する病院にその旨を伝えたところ、協力してくれて診察する直前まで「ものわすれ外来」感がゼロでした。もしうまくいかなかったら、あっさり諦めて時間をおいて再チャレンジすることです。無理に何回も連れ出そうとすると、イヤだという気持ちが生まれます。 連れ出されたという記憶は残りませんが、なんかイヤな気持ちになったという感覚だけは残ります。あっさり諦めるのは、その感覚を残さないようにするためです。次の日はうまくいくこともありますし、5分待って成功することもあります。強引な連れ出しだけは、絶対にやってはいけません。ますます受診が、困難になります。 訪問診療を利用する てこでも動かない場合、訪問診療が可能な医師に来てもらうという方法もあります。医師の白衣に委縮してしまう方もいるので、私服で来てもらうなどの対応方法が可能な場合もあります。