認知症、どうやって病院へ連れて行く?早期診断・早期絶望にならないために
もし、認知症と診断されてしまったら?
一般的には市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに行って、介護保険の申請をします。手順としては正しいのですが、その前に認知症ご本人ができること・できないことの見極めや、家族の介護体制を考えることが先です。 申請を行うと要介護認定といって、市区町村の調査員による聞き取り調査が行われます。審査の結果は7段階に分かれ、要介護度と呼ばれます。要支援1~2ならば介護予防サービス、要介護1~5であれば介護サービスが受けられます。 この聞き取り調査の際に、認知症の症状が現れないことがよくあります。「医者の前だと、シャンとするんですよ」という樹木希林さんの認知症CMがありましたが、本当です。母は自分の年齢が分からないのですが、前回の調査では2年ぶりに正解するという奇跡を演じ、いつもは間違いますと後で調査員に伝えたほどです。 正しい判定結果を受けるためには、家族は認知症と思われる方をじっくり観察して、要介護認定のときには必ず立ち会ってください。シャンとしてしまった結果、要介護度が低く判定されて、十分な介護サービスを受けられないことがあります。 「本人はできると思っている、でも普段の生活を見ているとできてない」 これを調査員に必ず伝えてください。1週間程度、一緒に生活して欲しいと先ほど書いたのは、医師の他に調査員にも説明が必要だからです。わたしの場合は休みが取れなかったので、週末に何度も帰省し母の様子を観察しました。
最も大切なこと、それは認知症ご本人への配慮
「早期診断、早期絶望」 これは認知症と診断された当事者の方が言ったコトバです。一般的に早期診断すると、認知症も進行しないからいいことだと思われています。ところがご本人は「医療にも介護にも助けになる体制がどこにもない」とまず感じ、さらにネガティブな認知症の情報に押しつぶされ、絶望に陥るのです。 何の配慮もなく認知症を告知してしまう医者、家族も認知症を理解しないまま、ただ自分の未来だけを憂う……。一番ショックなのは、誰よりも認知症と診断されたご本人だということを忘れてはいけません。 わが家の場合は、お医者さんの配慮ある告知に加え、家では「年相応のもの忘れ」ということでしばらく通しました。介護者として気持ちが整理できて、接し方もきちんとできるようになった頃に告知しました。ご本人への配慮を忘れずに、ご家族はとにかく早く動くことがとても大切です。 ここまで来たけど、遠くの親を介護するのはやはり難しいのでは?、と考えている方に、距離や時間のハンデをどうやって乗り越えるのか、デメリットばかりではない、実は隠れたメリットもある!というお話を、第3回でお伝えします。 (介護ブログ「40歳からの遠距離介護 」運営・工藤広伸【くどひろ】)