「トランプ再選」に落胆する「リベラル」がまったく理解していない、世界中で生きづらさを抱える人が急増した「驚きの原因」
複雑な社会から脱落する人たち
社会のリベラル化はこうしたやっかいな衝突をあちこちで勃発させ、それによって政治は利害調整の機能を失い、行政は肥大化して機能しなくなっていく。 だがいちばんの問題は、複雑な社会(人間関係)にうまく適応できない(一般には「コミュ力が低い」とされる)ひとたちが脱落していくことだ。 知識社会化とリベラル化が引き起こした状況を、グローバル化がさらに加速させる。国境の壁が低くなったことで、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)のようなプラットフォーマーは、世界じゅうからきわめて賢い者たちを集め(ここにはなんの多様性もない)、地域的・文化的なダイバーシティ(多様性)によってとてつもないイノベーションを生み出していく。 その一方で、移民に仕事を奪われると怯えるひとたちが排外主義や陰謀論を唱え、価値観の異なる者同士が衝突を繰り返している。 わたしたちは人類史上、あり得ないようなゆたかさを実現したが、皮肉なことに、それによって人生はますます生きづらくなってしまったのだ。 さらに連載記事<「ふつうに生きていたら転落する!」…あまりに残酷な「無理ゲー社会」で生き残るために絶対に知っておくべき「たった一つの方法」>では、人生の難易度が格段に上がった「無理ゲー社会」の実態をさらに解説しています。ぜひご覧ください。
橘 玲(作家)