世界も注目!平均年齢80歳の“ばあちゃんベンチャー”「生きがいと収入を」 77歳“最年少”ばあちゃんが大事にする「きょうよう・きょういく」
働くことに不安はなかったのか。「全然ない。毎日出勤するわけではない。最初は『土日を手伝って』と言われていたが、それ以外にも用事がある時に行く程度で、若者の仕事へ行く感覚とは異なる」とトキエさん。 好きな言葉は、「きょうよう、きょういくで毎日元気に」だ。「高齢者になったら、“今日用事があること”と“今日行くところがあること”が一番大事。多くの人と接し、話しながら、毎日を楽しく生きていけたらいい。88歳の仲間もとっても元気。定年は考えたことがない。できる限りやりたい」。
■入院時にばあちゃんたちに支えられ「恩返しを」 同社の差別化戦略
独自のビジネスを思いついた背景には、大熊氏の経験がある。「20代でバイク事故を起こして、4年ほど入院していた。死にたくて仕方なかった頃、同じく入院していたばあちゃんたちに支えられて社会復帰できた。“恩返ししなきゃ”との思いがあった」。加えて地域課題も理由となった。「ボランティアで活動していたが、資金面で続かない。稼ぎながら高齢者周りの課題を解決すれば、地域や故郷がよくなるのではないか」。このように「個人のエゴと地域課題がうまく混ざり合う」ことで、これまで続けてこられたという。 「うきはの宝」の差別化戦略のひとつに、単なる高齢者人材の言葉では括れない、より深い“ばあちゃん文化”を知っている75歳以上の後期高齢者人材の活躍がある。「田舎=チープ」ではない、品質にあった強気の値段設定も特徴だ。また、高齢者による高齢者に向けた「ばあちゃん新聞」で、あえてアナログで情報発信することで、相乗効果もねらっている。
あくまで営利企業であって、「ばあちゃんへの“お情け”で運営しているわけではない」と大熊氏は強調。「食であればやはりおいしく、客が食べたい商品を開発して、通販などで身近に購入してもらうことが大切だ」と語る。 値段設定が高額だと、ばあちゃんから反発されることもあるが、「値決めだけは経営者の私が行う」と断言する。「ばあちゃんは100円で売りたがる。最近の物価上昇とかも、あまりわかっていない」。