真のエースへと成長したウインターカップ…八村塁が「バスケはすっごい、すっごい楽しいです」と言える理由
現在開催中の「ウインターカップ2023」にあわせて、過去にウインターカップで輝いたスター選手をピックアップ。今回は明成高校で大会3連覇を成し遂げた八村塁の活躍を振り返る。 【動画】高校時代から異次元の活躍を見せる八村塁
■年々「楽しさ」が増したウインターカップ
「バスケはすっごい、すっごい楽しいです」――。 明成高校時代、八村塁がウインターカップの優勝インタビューで発した名言を覚えているファンも多いだろう。激闘を制したあと、八村塁はいつも満面の笑顔で「バスケが楽しい」と答えていた。しかも3年連続で。 1年生の時の八村は、3年生の中に一人だけ1年生センターとして名を連ね、先輩からのパスを受けて自在に攻めていた。しなやかなポストプレーやポジション取りのうまさに会場は騒然となり「あの1年生は何者?」と見る者をどよめかせた。「楽しかった」とニコニコしながら優勝インタビューに答えるその姿に大物の片鱗をのぞかせていた。 2年生になると、明成はオール2年の布陣で挑み、福岡大学附属大濠高校と2年連続の決戦を制して連覇を達成した。インターハイでは八村と納見悠仁の2人がU17ワールドカップに出場したことで決勝だけ不在となり、大濠に敗れて準優勝に終わるが、ウインターカップで夏の借りを返したのだ。優勝インタビューで八村は「(佐藤)久夫先生を優勝させたかったので、それができて本当に良かったです」と感想を述べたあと、「バスケはすっごい楽しいです」と笑顔で勝利を噛みしめていた。 3年の決勝は、レベルの高い攻防の末に明成が土浦日本大学高校を78-73で下して3連覇を遂げた。試合は松脇圭志と杉本天昇の両シューターが当たった土浦日大が先行して進み、明成は八村のリバウンドとインサイドプレーで我慢の時間が長かった。そこでようやく、第4クォーターにディフェンスを強めたことで納見のシュートが当たりだし、一気に突き放したのだ。もはや、お約束となった恒例の優勝インタビューで八村は、「バスケはすっごい、すっごい楽しいです」と満面の笑顔を見せた。 「楽しかった」「すっごい楽しい」「すっごい、すっごい楽しい」と、年々「楽しさ」が増していったように、八村自身のプレーも学年を重ねるごとにパワーアップしていった。見る者たちもその成長ぶりに心を奪われ、「スポーツは楽しい」という原点を一人の高校生に気づかされたのである。