クリーンエネルギーへの投資、人口高齢化への対応、安全保障の強化を迫る圧力の中で、歳出削減への政治的意欲はほとんど見られない。このため「債務見通しに対するリスクは上方向に強く傾いている」とＩＭＦは指摘した。

ＩＭＦは、ユーロ圏の来年の成長率予想を1.2％と７月時点の予測から0.3ポイント引き下げた。ドイツとイタリアで製造業の低迷が続いていることが理由。

金融政策引き締めによる影響を踏まえ、メキシコの今年の予測は主要経済国の中で最も大きく引き下げられた。来年の見通しも下方修正された。

中国の今年の成長率見通しは、不動産部門の不振と消費者信頼感の低さを理由に、前回予想の５％から4.8％に引き下げられた。2025年の予測は4.5%で据え置かれた。

米国については今年の成長見通しを2.8％、来年の見通しを2.2％に上方修正した。消費の伸びを理由に挙げた。

日本は今年が0.3％、25年が1.1％の成長と予想された。今年は0.4ポイント引き下げられたが、一時的な供給障害と前年のインバウンドブームによる影響を反映させたとＩＭＦは説明している。来年の見通しは0.1ポイント引き上げた。

ＩＭＦは、景気後退を回避しつつインフレ抑制に成功した各国・地域の中銀を称賛。グランシャ氏は、数年前にインフレ抑制に必要と予測されていた措置を踏まえると、これは「大きな成果」だと評価した。

一方でＩＭＦは、金融政策が意図した以上に成長に打撃を与え、新興国や途上国における政府債務負担を悪化させるリスクに世界は直面していると指摘。気候変動や戦争、地政学的な緊張を要因に、食料やエネルギー価格の高騰が再燃する恐れもあるとの見解を示した。

原題：IMF Lowers Global Growth Forecast, Warns of Increasing Risks（抜粋）

--取材協力：Viktoria Dendrinou.

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