戦争景気で高級車が飛ぶように売れるロシア 経済は「バブル」状態でもウクライナとの停戦を検討すべき理由
ロシアのインフレリスクは高まるばかり
危惧すべきはインフレが高進していることだ。 9月のインフレ率は前年比8.6%増と高止まっている。4%のインフレ目標を大幅に上回っていることから、ロシア中央銀行は25日、政策金利を2%引き上げて21%にすることを決定した。2003年以降で最も高い水準だ。 「現在のロシアは第1次世界大戦中の状況を彷彿とさせる」との指摘も出ている(10月22日付Forbes JAPAN)。当時のロシア帝国も開戦当初は戦争景気に潤ったが、その後、戦死者の急増などが災いして深刻なインフレが起きた。このことが国民の憤りを招き、革命が起こった結果、滅亡した。 「現在のロシアが100年前と同様の経緯を辿る」と断言するつもりはないが、ウクライナとの戦争が長期化すれば、ロシアのインフレリスクは高まるばかりだ。政情不安を回避するため、ロシアはウクライナとの停戦を真剣に検討すべきではないだろうか。 藤和彦 経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。 デイリー新潮編集部
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