<ボクシング>亀田3兄弟より凄い井上兄弟
亀田3兄弟は、亀田興毅が東洋タイトルを獲得しているが、あとの2人は日本、東洋タイトルは素通りして世界へチャレンジした。当時は、世界挑戦へのパスポートとしての日本、東洋タイトル奪取は内規化されておらず、海外での世界挑戦の場合、そのルールが適用されないため、彼らは、そういう道筋を選んだが、その国内実績のない部分が、「亀田の強さは本物かどうか?」とファンから懐疑的に見られ常に議論の的とされる遠因になってきた。 その亀田3兄弟の路線と比べて井上兄弟に敷かれたレースは対象的な超本物志向。それだけイバラの道ではあるが、井上兄弟は揃って「強い相手とやらないと意味がない」と考えている。2人は互いに強いライバル心を抱いている。 「僕のパンチはキレだが、弟のパンチ力はパワーが凄い。ライバル意識はある。兄として今回の試合で差をみせつけたい」。兄が、こう語れば、弟も「兄に比べて弟の方が凄いと思わせるような試合をしたい」と負けていない。今回は、弟の対戦相手がサウスポー選手のため、両者はスパーリングを行わなかったが、2人の体型体重が、ほぼ同じこともあって、しょっちゅうスパーで拳を合わせる。2人の父であり専属トレーナーである井上真吾さんは「非常に悩ましい」と打ち明ける。 「2人でやらせると素晴らしく凄くいいスパーをするんですよ。私が言葉を挟めないほど。でも時折、感情的にもなるので、その時は止めに入るんです(笑)。性格的には、弟が少しマイペースかもしれないが、強気という部分は2人ともに負けていない。スパーの内容は最近では、ほぼ5分。大橋会長は、ああ言ってくださいましたが、尚弥も6、7、8ラウンドで倒して勝たないと世界には行けないだろうし、弟もデビュー戦はランカーですが、キャリアを積まないと(4戦目での世界は)難しいと思っています」 井上尚弥は、今回、WBA世界暫定フライ級王者の江藤光喜や、日本フライ級王者の粉川拓也ら1階級上の王者クラスとスパーを積んできた。拓真もサウスポー対策を万全に終えた。兄弟揃ってのKO決着は、同じ兄弟ボクサーということで比較されることの多い亀田3兄弟を超えるための約束された未来へのスタート地点となるような気がする。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)