アマチュア5冠の山口瑠、2回RSC圧勝で全日本選手権初の決勝進出 「この日のためにやってきた。優勝したい」
ボクシングの全日本選手権第5日は30日、東京・墨田区のひがしんアリーナで男女各階級の準決勝が行われた。男子フライ級はアマチュア5冠の山口瑠(るい、20)=駒大2年=が、福留想大(そうた、明大)に2回2分22秒RSC勝ち。圧勝で初の決勝進出を決めた。湯浅和樹(駒大)は好浦郷介(東洋大)に3-0の判定勝ち。駒大対決となった決勝は12月1日に同会場で行われる。 2度目のスタンディングダウンを奪って、レフェリーが試合を止めると、山口は両腕でマッスルポーズをして喜んだ。 「1回戦は動きがガタガタだったが、準決勝は力を抜いてできました。まだ良くはないです。100点満点の40点ぐらいです。1回戦がダメダメだったので、1回戦よりは良かったと思います」 1回にカウンターの右ストレートを当て、上下に連打。右アッパーもヒットして完全にペースをつかむ。2回には右ストレートでスタンディングダウンを奪うと、さらに右ストレートをクリーンヒットして試合を終わらせた。 大阪・藤井寺市出身。5歳でキックボクシングを始め、同じ藤井寺市出身で、通っていたキックボクシングジムが同じだったアマチュア6冠の田中将吾(22)=大橋=の勧めで、パンチの強化のために小学4年生からはボクシングジムにも通った。キックで24個のタイトルを獲得。中学生時代に名門の大阪・興国高に練習参加し、勧誘を受けて興国高に進学すると、ボクシングに転向した。 高校では出場した全国大会すべてで優勝。高校4冠を達成した。2022年11月にはスペインで開催された世界ユース選手権のフライ級(48~51キロ)に出場し、銅メダルを獲得。駒大に進学し、昨年10月の鹿児島国体同級で優勝した。 昨年の全日本選手権は同級準決勝で、試合中にカットしたこともあり、大会2連覇中だった牧野草子(自衛隊)に0-5の判定負け。挫折を味わった1年後に、初の決勝にたどり着いた。「本当にこの日のためにやってきた。去年悔しい思いをしてから、1年間頑張ってきた。明日は自分のやれることをやって、優勝したいと思っています」。駒大対決を制して表彰台の一番高いところに立ち、1年前の悔しさを晴らす。(尾﨑陽介)