やなせたかし夫妻を描く来年NHK朝ドラ「あんぱん」ヒロインに今田美桜 最後の編集者が明かす秘話
NHKは2月2日、’25年度の朝の連続テレビ小説『あんぱん』のヒロインを今田美桜(26)がつとめることを発表した。今もなお、子どもたちから絶大な人気を誇る「アンパンマン」を生み出した、やなせたかしさんと暢(のぶ)夫人(ともに故人)の愛と勇気の物語。やなせさんの最後の編集者をつとめた平松利津子さんが知られざるエピソードを明かした。 圧倒的可愛さ…!! 今田美桜 スペシャルインタビューで見せた弾ける笑顔!【撮りおろし写真】 ◆運命の出会い 月刊『詩とメルヘン』(サンリオ)が大好きだった平松さんがやなせさんに初めて会ったのは、’74年に開かれた「漫画家の絵本の会」の展覧会だったという。漫画家の絵本の会は、馬場のぼるさんや手塚治虫さんら10人の漫画家が結成した会で、それは東京丸善での1回目の展覧会だった。 新聞広告でサイン会があることを知った平松さんは、会場に駆けつけてサイン色紙をやなせさんの前に差し出した。そのとき、やなせさんはこんな言葉を返したという。 「会場ではサイン色紙が売られているから、ここでは書けないんだ。後で送ってあげるから住所と色紙を置いていきなさい」 平松さんは半信半疑で色紙を預けたところ、1週間もたたないうちに絵が添えられたサイン色紙が送られてきたという。 「約束をきちんと守る誠実な人柄が見えた」 それがきっかけで、二人の交流が始まった。 「お手紙を出せば、かならずお返事をくださいました。私にとって生まれて初めてのAIR MAILは、ドイツの消印が押された絵はがきでした」 平松さんは、そのときの絵はがきや返事の手紙を今でも大切に保管している。 やなせさんは1919年2月6日、現在の東京都北区で生まれ、5歳のときに父方の故郷・高知県香美市に転居した。中学生のころに同郷の漫画家・横山隆一(よこやま・りゅういち)さんの作品を読み、「漫画家という仕事があることを知り、憧れるようになった」と語っている。 イラストレーターを志し、旧制東京高等工芸学校図案科(現在の千葉大学工学部)に進学。1939年、大学を卒業後は、東京田辺製薬(現在の田辺三菱製薬)に就職するが、戦争が始まり1941年に出征。21歳から26歳まで兵隊として中国に出征していた。そのときの過酷な戦争体験が、後にアンパンマンの誕生に大きな影響を与えることになる。 終戦後、1946年に高知新聞社に入社。『月刊高知』の編集に携わりながら、文章や漫画などを手がけた。同僚には、後に妻となる小松暢(こまつ・のぶ)さんがいた。暢さんが転職のため上京することを知ったやなせさんは、高知新聞社を退職し、暢さんの後を追って上京。翌年、二人は結婚した。