SNSとの「適度」な距離の置き方。禅の考え方を用いて上手につき合う
SNSの世界は真実ではない
FacebookやインスタグラムといったSNSの世界も妄想の源です。かつてお釈迦さまは、優雅な王子の生活を捨て、出家しました。城門の内側ではきらびやかな宴(うたげ)がいつも繰り広げられていましたが、現実と真実を見なくてはいけないと旅に出たのです。 じつはFacebookやインスタグラムで繰り広げられている、ある一瞬を巧みに切り取った世界も、お釈迦さまの城門の中のきらびやかな宴と同じです。きらびやかで美しい面だけを強調し、この世界の真実を伝えてはいません。 そして偽りの世界を見せ合っているSNSで、じつは多くの人が傷ついています。それは、私のもとに心の病にかかる寸前の悩みがたくさん届いていることからもわかります。ブランド品に囲まれて華やかな生活を送っていたり、高級なお店でばかり食事をしていたり…。そういった世界を見せつけられるたびに自尊心がうずきます。 でも、傷ついていることに本人は気づきません。駆り立てられるように今度は自分がレストランに行って写真を撮り、料理を味わうこともそこそこにSNSにアップして、リベンジする。 そのようにして世界中の人が見栄や欲によって妄想合戦をすることで、みんなの見えない傷が深くなっていくのです。 一方で、多くの人がSNSに登録することで広告収入が増え、うるおっていくIT企業の億万長者たちがいます。SNSとはそのようなものということを理解して、表には見えない経済の仕組みを知り、人とつながる手段として上手に利用すれば、傷つくことも避けられるはずです。 なぜ、こんなふうに気持ちを駆り立てられるのか。きちんと問いを発し、答えを見つける姿勢があなたを妄想合戦から救います。
お金の不安を解消するためにできること
SNSの次に多いのが「お金がないと不安」という妄想です。「老後には2000万円必要」などと報道されると、不安はますます大きくなります。そんな悩みを抱えている人には、冷静に数字を分析するべきと、私は回答しています。 たとえば月の収入が10万円だったとします。支出は9万9900円という数字がわかれば、なにか削れるものはないだろうかと考えるのです。家賃が5万円なら、シェアハウスなどで3万円にしてみる。あるいはバイトをかけもちして、あと3万円稼いでみる。 そうすれば、いざというときのために少しずつでも貯められる。そんなふうに分析することで、みなさんの不安が少しやわらぎます。 しかし、不安を抱える人の多くは、案外、自分がどれだけお金を使っているのか、どれだけたりていないのかを把握していないことが多いのです。ただたりない、たりないと不安がっているだけです。 きちんと数字を確かめて、冷静に対策を立てることで妄想は去るわけです。