女子大10校が合同で「就活ゼミ」 毎日違う企業のインターンを4日間体験
1人の強烈なリーダーシップではなく
矢島さんは「この雰囲気は、女子大学合同就活ゼミならではのもの」と話します。 「グループワークでは1人が強烈なリーダーシップを発揮するのではなく、みんなで力を合わせて、場をつくっています。参加者には女子大所属の3年生という共通項があり、価値観が近い学生同士が集まるので、居心地がよく、自分を出しやすいのではないかと思います。就活では自分自身を客観的に過不足なく理解し、自分らしく伝えることが大事です。インターンシップを通じて周りの仲間の力を借りながら自分のことを理解し、また自分なりの伝え方を身につけることで、就活に生かしてほしいと思っています」 矢島さんが女子大学合同就活ゼミを提案したきっかけは、自身の学生時代の経験でした。 「私は大学に入るまで、親の敷いたレールの上を歩むような人生を送ってきました。その影響から、就職活動でも親や世間の『こうあるべき』というプレッシャーを感じ、モヤモヤしていました。社会に出てから様々な学生と触れ合う中で、特に女子大に通っている女子大生たちが当時の自分と同じような悩みを抱えていることを知り、彼女たちに近い立場で伴走することを決意しました」 「女子大学合同就活ゼミ」を通じて、学生たちは大きく変わることができる、と矢島さんは言います。 「ゼミのインターンシップにはすべて同行していますが、仲間と一緒に参加する中で、徐々に自分をさらけ出し、思いを伝えるようになっていく姿は頼もしいものです。また、以前に比べて、企業側も女子学生の仕事に対する思いをくみ取ってくれるようになっています。女性がますます働きやすい環境になってくれればと期待しています」
就職でリベンジするため女子大を選択
この日、参加していた東京女子大学現代教養学部国際社会学科3年の宮田咲良(さら)さんは、同大学への進学を決めた理由の一つに「就活サポート」があったといいます。 「私は第1志望の大学に不合格でした。くやしい思いの中、就職でリベンジしたい気持ちが強くあり、『女子大は就職がよく、そのための支援体制にも力を入れている』という話を聞き、進学を決めました」 カタパルトの矢島さんも、「多くの女子大と関わる中で、女子大の就活に対するきめ細かなサポート体制に驚きました」と言います。東京女子大学キャリア・センター課長補佐の村石隆造さんは、同大学のサポートをこのように説明します。 「学生一人一人に担当者がつき、大学の事務室や電話、オンラインツールなどを使って、対話によって個性を引き出すことを重視しています。就職活動は学生が行うものですが、相談したいときに相談しやすい先があるのは、女子大の伝統でしょう。女子大学合同就活ゼミのような、就活を前向きに進めていためためのイベントも積極的に行っています」 女子大の手厚い就職支援は、大学選びの際の重要なポイントと言えるでしょう。
朝日新聞 Thinkキャンパス