美食家が厳選。2024年を代表する、本当においしい地方のベストレストラン10店
輪島の現在の状況について「街は被害で損壊したままです。変わらない街の風景を見続けていて、先月うつ状態になってしまったこともありました」といまだ街も人々の心情も、大変な状況が続いていると池端シェフは話す。
しかし「今でも町の人に会うと、炊き出しに対して感謝の言葉をたくさんいただくんですよね。誰かの希望になったり、誰かのために料理があって、喜んでくれる人がいて、料理人で良かったと思います」と今は前を向いているという。
「ラトリエ ドゥ ノト」の再開については「僕がこれまでやっていたレストランは、幸せの上に成り立っていたものだと震災を機に実感しました。生産者など一次産業の方が最低限復活しないと、僕らもレストランはできないのでまずはそこに注力したいですね」と話す。現在、池端シェフ自身も農業に従事しているほか、生産者支援のクラウドファンディングも手伝っている。
また「今は輪島までの交通も限られているため、宿を備えないとなかなかレストランに足を運んでもらうのが難しいのが現状です。牧場を手掛けているというのもありますので、そこの近くでオーベルジュができたらいいなと考えています」と構想を教えてくれた。
さらに池端シェフは支援金をもとに、輪島の海沿いに堅牢な建物を購入。ここで炊き出しにも参加してもらった輪島の飲食店メンバーたちと一緒に、定食や居酒屋、割烹、ラーメン屋の顔を持つ食堂「メブキ」を7月上旬にオープン予定だという。
「街に飲食店の明かりが灯るだけで希望が持てたりしますよね。そういった場を作るのが大事だと思っていて。ワイワイ集まり楽しく過ごすことが、被災者の心のケアにもつながると思っています」 被災者でありながら被災者を支え、そんな被災者の方や支援してくれる方々から元気をもらっているという池端シェフ。地方のレストランシーンを応援し、実際に足を運ぶことは、先の震災復興の一助になるはずだ。
ラトリエ・ドゥ・ノト
住所: 石川県輪島市河井町4-142
写真:外山温子 文:中森りほ、食べログマガジン編集部