茨城県警、防犯呼びかけ 巡回連絡 20万世帯実施 開始半年 ニセ電話、侵入盗で効果
茨城県警は15日までに、県内の全123万世帯を対象に進めている巡回連絡について、開始から半年間で全体の16%に当たる約20万世帯で実施したと発表した。ニセ電話詐欺や住宅侵入盗などの認知件数は前年に比べて減少しており、県警は一定の効果があったとみている。ただ、目標とする3年間での全世帯一巡に向けては、訪問が空振りとなる不在世帯などの課題も見えてきた。 ■周知 県警は6月以降、「犯罪へのディフェンス力強化対策」として、県内27警察署員が巡回連絡に取り組んでいる。家庭環境に応じた犯罪の情報を周知し、防犯を働きかけるのが目的だ。 昨年6月から1年間、高齢者世帯向けに呼びかけた内容は▽ニセ電話詐欺▽住宅侵入窃盗▽歩行者事故▽災害被害。さらに今年6月以降は▽自動車盗▽自転車盗▽サポート・投資詐欺▽金属盗に関する情報提供依頼-を加えた。 ■被害減少 巡回した世帯では、署員が固定電話を留守番電話設定にするよう強く働きかけた。今年10月現在でニセ電話詐欺の認知件数は、茨城県を除く全国平均で前年同期比で5%増加しているのに対し、茨城県は10%減。11月末の茨城県の認知件数(194件)は、過去10年間で最少だった。県警は効果が表われたとみている。 住宅侵入盗の被害防止については、自宅の常時施錠を呼びかけたところ、県内の侵入盗の認知件数は同20%減となり、全国平均よりも減少幅が大きかった。 歩行者の事故対策では、昨年からの1年半で高齢者を中心に約25万人の靴などに反射材を貼付。信号機のない横断歩道での死亡・重傷事故件数は同38%減となり、全国の同9%増と対照的な結果となった。 車両を物理的に固定するよう防犯措置を働きかけてきた自動車盗は、同11%減に抑え込んだ。全国は同6%増だった。 ■課題 実施件数は月別2万7000~3万9000件で推移。高齢者世帯の実施率は全体の24%と順調に進む一方、一般は11%と伸び悩んでいる。 懸念材料は、共働きや1人暮らしで日中は不在となる家や、管理者から入館を拒否されるマンションもあることだ。県警地域課は「今後これまで以上に、住民と対面するまでに時間と労力が必要となる可能性がある」と見据える。 今後は在宅率の高い休日や夕方に訪問したり、マンション管理者に要望したりするなど、工夫を練っていく。同課の大久保昌範課長は「可能な限り対面による丁寧な働きかけを行いたい。課題を克服し、多くの世帯を巡回したい」と話している。
茨城新聞社